教員詳細

詳細ページ(豊島由樹子)

氏名
豊島 由樹子

職位
教授

連絡先
E-mail:y-toyoshima@sozo.ac.jp

表題
・慢性病を抱えて生活する人々への看護援助に関する研究
・慢性病・障害をもつ 患者と家族の療養生活支援に関する研究
・慢性病患者の在宅療養への移行支援に関する研究

主な研究と特徴
《慢性病患者の在宅療養への移行支援に関する研究》
医療療養病棟における看護師の在宅療養移行支援内容を明らかにすることを目的として、質問紙調査と面接調査を行った。その結果、病棟看護師は在宅療養移行支援として「患者・家族の意思決定に関する支援」を重視していることが示された。また医療療養病棟における在宅療養移行支援を行う上での困難としては、医療的ケア、介護力不足、患者と家族の関係性等の問題が多く、在宅療養の機会を見逃さないことや患者・家族に対する継続的な支援が必要であることが示唆された。また医療療養病床からの在宅療養移行支援において主要な役割を担っている地域連携室看護師の支援の特徴を明らかにする目的で行った質問紙調査と面接調査の結果から、医療療養病床には在宅療養移行の困難な事例が多いため、地域連携室看護師は地域の社会資源との密接な連携や、診療報酬を意識した入退院管理などを踏まえて支援していることが明らかになった。

《慢性病・障害をもつ患者と家族の療養生活支援に関する研究》
感覚異常をもつ在宅脳血管疾患生活者と家族の生活管理の構造の探索を目的として研究を行った。その結果、脳血管疾生活者は形容することが難しく他者に理解されない『感覚異常によってもたらされる苦痛への直面』しながらも、家族とともに『感覚異常に対する苦痛緩和・増強予防の努力』と、『感覚異常をもちながらの生活行動自立の重視』に取り組み、生活者と家族各々が自らにあった生活管理に向けて試行錯誤していた。その中で徐々に、生活者は感覚異常をもつ身体を受け入れるようになり、また家族も感覚異常にあわせた介護を体得し、『感覚異常とともに生活していく決意』を得るという構造として、生活管理は構成されていた。また生活者と家族は生活管理を行う中で、『生活者と家族の距離の取り直し』に取り組んでいることが示された。

今後の展望
慢性病や障害を抱える療養者の中で、外見から障害に気づかれにくいが生活場面の行動において障害が表面化する高次脳機能障害(以下、高次脳障害と略す)者を対象として、障害の当事者同士がつながりを持ち仲間同士で支えあうピアサポートに着目した研究を行う全国組織の東海地区研究ワーキングメンバーとして、質問紙調査、面接調査、準備研修の開催と評価について研究を実施している。
また、科研費C「高次脳障害のある母親の子育てにおけるピアサポート支援プログラムの開発」として、高次脳障害のある母親は子育てを要領よく行うことが難しく、生活上様々な悩みや困り事を抱えやすいため、同じ障害を抱える母親同士が互いに悩みを共有し合い自らの持てる能力をいかして母子ともに安心して生活できるような子育てにおけるピアサポート支援にむけて、子育てをしている高次脳障害の母親の生活実態と支援ニーズを明らかにし、母親同士の交流を適切にファシリテートすることに向けたピアサポート支援プログラムの開発をめざす予定である。

経歴
千葉大学看護学部卒業(看護学士)
聖隷クリストファー大学大学院看護学研究科看護学専攻(修士課程)修了(看護学修士)
聖隷クリストファー大学大学院保健科学研究科保健科学専攻(博士後期課程)修了(看護学博士)

所属学会
日本慢性看護学会、日本家族看護学会、日本看護学科学学会、日本リハビリテーション看護学会、など

主要論文・著書
【主要論文】
1.    豊島由樹子,加納江理,河野貴大,木下幸代(2021).地域連携室看護師が実施している医療療養病床からの在宅療養移行支援の特徴.せいれい看護学会誌,11(2),15-23.
2.    豊島由樹子,加納江理,小池武嗣,鈴木知代,木下幸代(2020).医療療養病棟における看護師の在宅療養移行支援の実態と課題.せいれい看護学会誌,10(2),9-16.
3.    河野貴大,豊島由樹子(2021).就労を継続している潰瘍性大腸炎患者の生活調整.日本慢性看護学会誌,15(2),23-29.
4.    勝山恵,豊島由樹子(2022).Aリハビリテーション病院を退院した脳血管障害患者の家族の在宅療養初期の生活.せいれい看護学会誌,12(2),24-31.
5.    豊島由樹子(2011).脳血管疾患による感覚異常をもつ在宅生活者と家族の生活管理の構造に関する研究.聖隷クリストファー大学大学院保健科学研究科博士論文,1-90.
6.    豊島由樹子、式守晴子(2010).緩和ケア病棟看護師の鎮静にかかわる認識.せいれい看護学会誌,1(1),17-24.

【著書】
1.    Joanne K.I.& Karen N.T.(2007).がん看護コアカリキュラム.小島操子 他監修.(がんと発がんの生物学,Ⅰ.A.c.~Ⅱ.C.  pp.353-361担当).医学書院.(原書発行年2005).
2.    長谷川雅美 他監修(2005).疾患と看護過程実践ガイド,(気胸,pp.81-93,肺炎,pp.124-136,慢性閉塞性肺疾患,pp.137-151,くも膜下出血,pp.418-431担当).医学芸術社.