豊橋創造大学・豊橋創造大学短期大学部ベストティーチャー賞について
● ベストティーチャー賞とは?
本学における教育実践において顕著な成果を挙げたと認められる教員に対して授与される賞で、2020年から実施しています。選考対象者は選考される年度当初において、本学の教員として在職している者です(ただし、該当年度にて退職予定者、前年度受賞者、本選考委員会委員、及び助手は対象としません)。年1回、各学科・科で1名の対象者を選考しています。
具体的には、次のような活動で顕著な成果があった方々を表彰の対象としています。
1)ベストティーチャー選考において評価が高い者
2)教育に対して真摯に取り組み、学生に対する指導が丁寧な者
3)授業方法の工夫または改善に取り組み、学生の授業評価が高い者
4)その他、ベストティーチャー賞にふさわしいと認められる者
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●2024年度ベストティーチャー賞の受賞者コメント
<大学>
経営学部経営学科 山口 満 教授
Q1. 授業のポイント(特徴、工夫していること)を教えてください。
A. 毎回の授業は必ず前回授業の振り返り(課題の解説含む)から開始します。振り返りは数分程度の簡単なものではなく10分~15分は費やしています。私が担当する情報系科目は積み上げ型の内容です。前回内容について時間をかけて振り返る=当日の授業を受講するためのウォームアップとして、意識して実施しています。また、Classroomですべての授業資料を公開し、欠席した学生が取り残されないようにしています。
Q2. 授業を準備する上でおこなっていることを教えてください。
A. 配布資料や提示資料(スライド)の準備には相当の時間をかけています。雑な資料とならないように常に注意しています。資料を丁寧と整えることで、重要ポイントの説明漏れや(年によって)説明内容のブレが生じないようにしています。また、資料化=記録であり、授業改善(見直し、次年度向けアップデート)を行っていく上でも重要な取組という認識を持って実践しています。
Q3. 授業での学生との関わり方について教えてください。
A. 履修者が大人数の授業は、現状でも、学生とうまく関わることができていないだろう、というのが自己評価です。今後もよい方法、振る舞いを模索し続けることになると思います。少人数の科目では学生個々の顔と名前、理解度を把握しやすいため、授業中の区切りのよいところでコミュニケーションを取るようにしています。学生の信頼を得られるよう、誠実な対応を心がけています。
Q4. 学生に期待することを教えてください。
A. 私が学生として学んでいた時代からは大きく変化し、現代ではネットワーク技術やAI技術の発展により非常に多くの情報を瞬時に得られるようになりました。学生のみなさんには、それら技術に基づくサービスを「答えを探すツール」として利用するのではなく、自身を進化させ目標を達成するための支援ツールとして適切に利用されること(そのような意識を持つこと)を願っています。
保健医療学部理学療法学科 小川 祐太 助教
Q1. 授業のポイント(特徴、工夫していること)を教えてください。
A. 授業では、知識を「覚える」だけで終わらせず、「どう使うか」を意識してもらえるように工夫をしています。たとえば、臨床場面をイメージできるように症例を取り入れ、「この患者さんにどう対応する?」と問いかけたり、学生同士で意見交換をする時間も大切にしています。自分の考えを言葉にし、人の意見を聞く中で、多様な視点に気づき、実践につながる学びになるよう心がけています。
Q2. 授業を準備する上でおこなっていることを教えてください。
A. 授業を準備する際は、「この内容が現場でどう活きるか」を常に意識して組み立てています。単なる知識の詰め込みではなく、学生が“なぜそれが必要なのか”を実感できるよう、実際の症例や臨床場面を想定した問いを用意します。また、学生の反応や理解度をふまえて、説明の順序や伝え方も見直すようにしています。準備の段階から、学生の立場に立って考えることを大切にしています。
Q3. 授業での学生との関わり方について教えてください。
A. 一方的に教えるのではなく、学生が安心して発言できる雰囲気づくりを大切にしています。授業中も「どう思う?」と問いかけたり、「その視点いいね」と声をかけたりして、双方向のやりとりを意識しています。間違えることを恐れずに考えを出すことで、学びは深まると考えています。学生の表情や反応を見ながら、その場で説明の仕方や進め方を変えることもあります。学生とのやりとりから、私自身も学ばせてもらっています。
Q4. 学生に期待することを教えてください。
A. 私が学生に期待することは、自分の学びに主体的であってほしいということです。もちろん、わからないことや迷うことがあるのは当然ですが、だからこそ「なぜそうなるのか」と問い続ける姿勢を大切にしてほしいと願っています。学内教育・臨床実習・卒後教育がシームレスにつながることが重要であり、その基盤となる主体的な学びの姿勢を在学中に育んでほしいと考えています。
保健医療学部看護学科 山本 義昭 助教
Q1. 授業のポイント(特徴、工夫していること)を教えてください。
A. 看護師が患者に寄り添い、その人の背景や価値観を理解しながらケアを行うように、私も教員として学生一人ひとりに寄り添いたいと思っています。ただ、講義という場ではすべての学生に個別に関わるのは難しいのが現実です。だからこそ、「わからない」「できない」と感じている学生にも届くように、多様な視点からの授業づくりを意識しています。看護は実践の学であり、不安や緊張が伴うものです。学生が自分の価値観や考えを育てながら、自信をもって判断し、行動できるよう、講義の中でその土台を築く支援ができればと考えています。
Q2. 授業を準備する上でおこなっていることを教えてください。
A. 看護の学びは座学だけでは身につかず、臨床の現場に繋げていく必要があります。授業準備では、病態・生理・薬剤・検査・看護の知識を単独で終わらせず、実習や現場で出会う患者さんに結びつけられるように考えています。患者さんの人生や生活背景にまで目を向けられる看護師を育てるために、学修の流れが有機的に繋がる授業を意識して準備しています。看護は「人を看る」学問であり、その視点を講義・演習・実習と授業全体で伝えたいと考えています。
Q3. 授業での学生との関わり方について教えてください。
A. 講義では、大人数に向けた授業であるため、学生一人ひとりと深くかかわる機会は多くありません。ですが、臨床で臨地実習指導者として看護学生に接してきた経験が、私の教育の土台となっています。そのため、実習では、学生が慣れない病院環境で不安や緊張を抱えないよう、心理的安全性を意識して関わっています。学生には、「守られている」と感じてもらいながら、同時に「一緒に考える存在」であることを伝えるように心がけています。さらに、学生と共に患者さんのもとへ行き、同じ状況を共有しながら臨床判断に必要な気づきを与え、それを一緒に深めていけるよう関わっています。
Q4. 学生に期待することを教えてください。
A. 学生の皆さんには、とにかく今しっかり勉強してほしいと思います。社会に出ると、どうしても学ぶ時間を十分に確保するのは難しくなります。ここでいう勉強とは、教科書を開いて知識を得ることだけを指しているのではありません。看護を志す皆さんには、人としての在り方、人間性を磨くことも含めて学んでほしいです。日常の何気ない場面でも、看護を意識するだけで学びとなります。人と関わる中で培われるコミュニケーション能力、食事や睡眠などに意識を向ける中で見えてくる「健康って、なに」「生きるって、なに」という問い、それらすべてが看護に通じる大切な学びです。日々の生活を丁寧に見つめ直し、その積み重ねが看護師として人としての成長につながると思います。学生の皆さんは“のびしろ”しかありません。ぜひ、その可能性を大切にしながら勉強を続けてほしいです。
<短期大学部>
幼児教育・保育科 井中 あけみ 教授
Q1. 授業のポイント(特徴、工夫していること)を教えてください。
A. 嘗て保育専門科目としての「音楽」は、演奏技術向上への指導が主であるものでした。しかし子どもの主体的活動を重んじた保育表現実践である現在は、学生たち自身も自分なりの「音表現」、人と協調した「音楽表現活動」、そして共有しながらの集団表現を体験する授業を行っています。さらに、これらの経験から、保育者が子どもたちに演奏することの有用性なども気づいていけたらと考えて授業を組み立てていきます
Q2. 授業を準備する上でおこなっていることを教えてください。
A. 「幼児と表現Ⅰ」については、子どもが生まれた際の聴覚を主とするところから、年齢別の音域、リズムへの対応などの成長について、各年度で調査します(研究調査)。それを活用しながら「手遊び」「音による身体遊び」「身近な素材の製作楽器」など子どもが興味を持って活動できる表現を取り上げます。さらに身体・造形・言葉・音楽が未分化な世代の表現について、他の先生方の授業を伺いながら関連できる授業を実施しています。
Q3. 授業での学生との関わり方について教えてください。
A. 学生は、教員よりも現在の保育現場を認識しています。そのため学生たちの意見を取り上げながら、現場に必要な表現方法を考慮していきます。また、ピアノの技術は各学生に合った演奏法を個別で提案し、個人レッスンの先生方(非常勤)とも常に連携をしています。また一人で歌唱することが不得意な学生もいるため、周りの学生たちと身体を動かす歌唱法や、私自身も子ども役を演じながら、学生と共に関わっていきます。
Q4. 学生に期待することを教えてください。
A. 現在「1人ひとりに合った適切な保育、それぞれの子どもに真摯に向き合う」など、保育者の役割が重視されています。過去には演奏会などの音楽活動が目的であったため、保育者の演奏の指導が重視される時代でもありました。しかし、現代において、音や音楽での主体的表現活動が、子どもの成長を培うことは事実です。保育者としてもその経験をしっかりと蓄え、音を活用した表現ができる豊橋創造大学出身の保育者となってほしいです。
キャリアプランニング科 瀧﨑 優佳 准教授
Q1. 授業のポイント(特徴、工夫していること)を教えてください。
A. 担当する科目はビジネスに直結するため机上の空論にならず実際に現場で役立つように実技を多く取り入れるようにしています。パソコン演習で作った自分の名刺を使い名刺交換をするなど、他の授業とも連携して実物を使い、より印象付けて行うようにしています。電話応対などの今の学生が苦手とするマナーは録音機能付きの研修機材を使い個々に指導を行い話し方の癖など自分で気づくようにし即実践できる内容になるよう心掛けています。
Q2. 授業を準備する上でおこなっていることを教えてください。
A. 新聞記事の切り抜きを毎回課題として発表します。その記事に対してコメントするにあたり自分でもできるだけ地方紙なども含めて何紙か目を通すようにしています。また検定合格レベルを目指している科目では小テストや模擬問題などを解く際に、学生の習熟度を知るため選択問題用の番号カードを作成し挙げてもらいます。ゲーム感覚で問題を解き、またどの問題が間違えやすいのか傾向を知ることで解説の参考にしています。
Q3. 授業での学生との関わり方について教えてください。
A. 短大生はすぐに就職活動が始まります。そのため授業では就職活動を見据えて挨拶などは毎回きちんと行うようにしています。面接は相手の目を見て話す、ということを伝えるため出席確認で名前を呼ぶときも学生の顔を見て名前を呼ぶようにするなど心がけています。毎回、ペアの発表の際に大学名・氏名を言って慣れるようにしており、それを行うにあたり正しい言葉遣い、表情、話し方など、自分が学生の見本になれるよう心掛けています。
Q4. 学生に期待することを教えてください。
A.素直に人のアドバイスが受け入れられる社会人になってほしいと思います。授業の中で伝えたことが社会人になった時に大切なことを短大でたくさん教えてもらったんだと思い出してほししいです。Z世代と言われる今の学生は1~10まで指示しないと動けないと言われます。人の気持ちを察して一歩先に行動が取れる社会人となり、上司や同僚に愛されるようになってほしいと期待しています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●ベストティーチャー賞歴代受賞者一覧(職位は受賞時)
2020 保健医療学部理学療法学科 冨田 秀仁 准教授
保健医療学部看護学科 五十嵐 慎治 講師
経営学部経営学科 山口 満 教授
幼児教育・保育学科 井中 あけみ 教授
キャリアプランニング科 瀧﨑 優佳 准教授
2021 保健医療学部理学療法学科 飯田 有輝 教授
保健医療学部看護学科 中村 裕美 教授
経営学部経営学科 若原 憲男 講師
幼児教育・保育学科 朝元 尊 教授
キャリアプランニング科 伊藤 圭一 准教授
2022 保健医療学部理学療法学科 大橋 和也 助教
保健医療学部看護学科 藤井 徹也 教授
経営学部経営学科 見目 喜重 教授
幼児教育・保育学科 熊谷 享子 准教授
キャリアプランニング科 辰巳 智行 講師
2023 保健医療学部理学療法学科 冨田 秀仁 教授
保健医療学部看護学科 豊島 由樹子 教授
経営学部経営学科 若原 憲男 講師
幼児教育・保育学科 朝元 尊 教授
キャリアプランニング科 伊藤 圭一 教授
2024 保健医療学部理学療法学科 小川 祐太 助教
保健医療学部看護学科 山本 義昭 助教
経営学部経営学科 山口 満 教授
幼児教育・保育学科 井中 あけみ 教授
キャリアプランニング科 瀧﨑 優佳 准教授