教員詳細

詳細ページ(原沢優子)

氏名 
原沢優子 

職位 
教授 

連絡先 
E-mail:y-harasawa@sozo.ac.jp 

表題 
1. 高齢者のエンドオブライフケア教育の充実に関する研究 
2. 認知症高齢者の尊厳維持に向けた研究 
3. センシング技術を活用した高齢者の身体機能維持を目指す研究 
4. 布センサを使った看護学習教材のデジタルディバイス開発 

主な研究と特徴 
《1.高齢者のエンドオブライフケア教育の充実に関する研究》 
高齢者介護施設における終末期ケア教育用の教材作成に取り組んできた。対象は看護師および介護職、看護学生である。 看取りケアの場面は死にゆく人、別れを迎える家族、共に働く多職種、そしてケアする自分を含めた多様な人々の死生観が交わる場面でありポリフォニー性が高い。死にゆく人と見守る家族に心のこもったケアを提供するために、看取りケア教育を重視している。現実の看取り場面は学習者が実習等の理由で参加するには個人の尊厳の維持の観点から倫理的に困難な状況が多い。介護職は研修時間などが業務内に組み込まれることが少なく学習環境の制限がある。これらを解消するように教育方法として、Webと映像教材を使用した学習システムを構想し、その学習の有効性と看取りケアの質への影響の探索に取り組んでいる。 

《2.認知症高齢者の尊厳維持に向けた研究》 
認知機能の低下した人が急性期病院に入院した際に起こる、身体機能の低下や認知機能の更なる低下の実態調査を行い、身体拘束の現状を社会に提示して急性期病院看護における身体拘束の減少に貢献しようと試みている。また、このような研究結果を看護学生に提示し、認知症への理解の促進、認知症がある人への対応技術修得についてロールプレイング教育を活用する、看護倫理教育を行い専門職としての高い倫理観の育成をする等の多側面から、未来に向けて認知症高齢者の尊厳が維持されるための活動に取り組んでいる。 

《3.センシング技術を活用した高齢者の身体機能維持を目指す研究》 
情報工学分野の共同研究者の協力を得て、徐々に低下する高齢者の身体機能を日常生活 の中で高齢者自身がセルフモニタリングできる仕組みを開発したいと試みている。現在は、 歩行速度の低下に関連する身体部位を下肢以外の部位(上肢)からセンサ技術を応用して把 握できるか高齢者をモニターに実験調査をしている。歩行速度を低下させないための上肢 の機能維持方法について検討している。現時点では、季節性(冬)の身体機能低下が女性に 顕著であることがわかり、冬場の屋内で可能な身体機能維持方法について検討している。 

《4.布センサを使った看護学習教材のデジタルディバイス開発》 
コロナ禍を体験し、人と人とが非接触でも看護技術が継承される必要性があることを痛感した。現在、人と人とが非接触状態であっても継続的に看護技術を継承するには、映像学習やシミュレーション学習が主流であるが、看護には「手当する」という言葉があるように患者に触れるケアが多く、人に触れる際の圧力が先の教材では学習できない。そこで、布センサを使い触れる圧を数値化することで看護技術の伝承がされるようデジタルディバイスを開発したいと取り組んでいる。 

今後の展望 
・高齢者への看護として、高齢者のセルフモニタリングによる身体機能維持ツール開発と身体機能維持方法の提案を発信すること。 
・臨床看護師に向けて、看護学研究力育成への貢献、EBNの実現に向けた学習の推進、看護ケアの質を維持する教育活動に取り組む。 
・未来の看護学教育への貢献として、知識伝承のための教材開発に取り組む。 

 経歴
学位:名古屋市立大学大学院看護学研究科博士後期課程修了 博士(看護学) 
職歴:名古屋第二赤十字病院 看護師勤務 
滋賀医科大学医学部看護学科 基礎看護学講座 助手 
愛知県立看護大学 老年看護学 助手 
岐阜県立看護大学 成熟期看護学講座(高齢者領域)講師 
名古屋市立大学看護学部 高齢者看護学 講師 
愛知県立大学看護学部 地域・在宅看護学 講師 
名古屋市立大学看護学部・大学院看護学研究科 高齢者看護学 准教授 
豊橋創造大学成熟期看護学(老年) 教授 

所属学会 
日本看護科学学会、日本看護研究学会、日本老年看護学会、日本老年社会科学会、日本家族社会学会、日本看護学教育学会、日本社会福祉学会、 

主要論文・著書 

【主要論文】 

  1. Sayuri Sable-Morita, Yuko Harasawa, Kiyomi Yamada, Saiko Sugiura, Hideki Fukuoka, Haruhiko Tokuda:Frailty and audiovisual senses in older patients with diabetes: a cross-sectional observational study.Fujita Medical Journal/9(4),2023. 

  1. 小野瀬良佑,榎堀優,原沢優子,間瀬健二:布圧力センサを用いた褥瘡予防教育支援システム,情報処理学会論文誌,61(3),746-755,2020. 

  1. 島田千穂,原沢優子,樋口京子,中里和弘,伊東美緒:特別養護老人ホームの看取りケア協働的内省セッションの評価に関する探索的研究,日本エンドオブライフケア学会誌,3(1),15-22,2019. 

  1. 杉本浩章,篠田道子,上山崎悦代,原沢優子:緩和ケア病棟を有する病院におけるIPWの促進要因と阻害要因,ケアマネジメント学,(16),57-69,2018. 

  1. サブレ森田さゆり,杉浦彩子,原沢優子,山田紀代美:高齢糖尿病通院患者における指こすり音聴取法を用いた中等度以上の難聴スクリーニングに関する検討,日本老年看護学会誌,22(2),40-46,2018. 

  1. 原沢優子,斉藤雅茂,永田祐,藤田欽也,黒川文子:24時間対応型LSA事業に見る高齢者への生活支援の構成要素と時間帯による相違,日本の地域福祉学会,29,69-80,2016. 

  1. Kazushi Okamoto,Yuko Harasawa:Prediction of symptomatic depression by discriminant analysis in Japanese community-dwelling elderly,ARCHIVES OF GERONTOLOGY AND GERIATRICS,52(2),177-180,2011. 

  1. 原沢 優子,山田紀代美:高齢の配偶者が介護老人保健施設に通いながら夫婦としての生活を続けるプロセス,日本看護研究学会雑誌, 34(2),65-74, 2011. 

  1. Kazushi Okamoto,Yuko Harasawa:Predictor of increase in caregiver burden for disabled elderly at home,ARCHIVES OF GERONTOLOGY AND GERIATRICS,49(1),129-131,2009. 

  1. Kazushi Okamoto,Yuko Harasawa:Emotional support from family members and subjective health in caregivers of the frail elderly at home in Japan,ARCHIVES OF GERONTOLOGY AND GERIATRICS,49(1),138-141,2009. 

  1. 岡本和士,原沢優子:在宅要介護高齢者の主介護者における介護負担感とその関連要因に関する検討,厚生の指標, 55(4),21-25,2008. 

  1. Kazushi Okamoto,Yuko Harasawa,Tomoko Shiraishi,Kiyomi Sakuma,Yumiko Momose:Much communication with family and appetite among elderly persons in Japan,ARCHIVES OF GERONTOLOGY AND GERIATRICS, 45(3),319-326,2007.   

  1. Kazushi Okamoto,Yuko Harasawa,Yumiko Momose,Kiyomi Sakuma: Risk factors for 6-year mortality by gender in a Japanese elderly population,ARCHIVES OF GERONTOLOGY AND GERIATRICS,45(3),335-341,2007. 

  1. Kazushi Okamoto,Yoshiko. Hasebe,Yuko Harasawa: Caregiver psychological characteristics predict discontinuation of care for disabled elderly at home,INTERNATIONAL JOURNAL OF GERIATRIC PSYCHIATRY,22(11),1110-1114,2007. 

  1. 原沢優子,長谷部佳子,岡本和士:介護家族の老親扶養義務感が介護継続意欲に及ぼす影響,日本保健医療行動科学会年報,21,177-188,2006. 

 

【著書】 

  1. 原沢優子: 「第2部7章1節 疾病及びそのリスクがある人の理解」,『社会福祉学習双書』編集委員会編集『社会福祉学習双書2024第14巻 医学概論/保健医療と福祉』,374-376,社会福祉法人全国社会福祉協議会(東京),2024. 

  1. 原沢優子:「第15章 エンドオブライフケア看護学の教育 高齢者ケア施設における介護職者への教育」,原沢優子:「第12章 エンドオブライフケアの事例 トルソー症候群を発症し急速に死に至った肺がんの高齢者」,原沢優子:「第7章 エンドオブライフケア高齢者向け施設」,小笠原知枝編著『エンドオブライフケア看護学-基礎と実践-』,276-282,ヌーベルヒロカワ,2018.  

  1. 原沢優子:「第2章 第4節 在宅看取りにおける多職種チームモデルと課題」,原沢優子:「第4章 第4節 多職種で支える終末期ケアの研究動向まとめ」,篠田道子,原沢優子,杉本浩章,上山崎悦代編著:多職種で支える終末期ケア-医療・福祉連携の実践と研究-,全275頁,中央法規,東京,2018. 

  1. 原沢優子,石賀奈津子:「弛緩性便秘に悩む白内障患者のフィジカルアセスメント」,藤崎郁編『フィジカルアセスメントをケアにつなげる』,10-18,医学書院,2012.