スペシャルインタビュー

理学療法学科「先生に聞いてみた」 湯口先生

理学療法学科「先生に聞いてみた」 湯口先生

<所属・氏名>

保健医療学部
理学療法学科
准教授
湯口 聡(ユグチサトシ)先生

<基本情報>

これまでの経歴を教えてください。

私は栃木県の医療系大学を卒業し、そのまま付属の大学病院で理学療法士として働き始めました。その後、心臓病に特化した専門病院で約10年間勤務し、心臓や血管の病気を持つ患者さんのリハビリに深く関わってきました。最初はスポーツや脳卒中のリハビリに興味がありましたが、現場で多くの経験を重ねるうちに「命に関わるリハビリ」の重要性に気づき、内部障害の分野に強く惹かれるようになりました。その後は大学教員として埼玉の大学に勤務し、研究や教育に力を入れてきました。そして2023年からは豊橋創造大学で、これまでの経験を活かして学生の指導にあたっています。

理学療法士を目指したきっかけを教えてください。

中学生の頃、サッカーの試合中に膝をケガしてしまい、手術とリハビリを受けることになりました。そのときにお世話になったのが理学療法士の先生で、「こんなふうに人の回復を支える仕事があるんだ」と初めて知りました。当時はサッカーを続けたい気持ちも強かったのですが、ケガの経験がきっかけとなり、自分も将来は人の役に立てる仕事がしたいと思い、理学療法士の道を目指すことに決めました。

<教員・研究>

先生の専門研究分野を教えてください。 

私の専門は「内部系理学療法」で、特に心臓外科の手術後や、血管の病気(末梢血管疾患)を持つ患者さんのリハビリを対象としています。中でも、そういった病気によって筋肉がどのように変化するのかを研究しています。内部系理学療法は理学療法としての治療はもちろん、医師が行う治療や予防といった疾病管理についても関わるので、時には命に関わる内容もあるため、責任も重いですが大変やりがいがある分野です。

どのような点が魅力ですか。

内部系理学療法の魅力は、命に関わる大切な場面に関われることです。病気を予防したり、悪化を防いだりすることで、患者さんの人生そのものを支えることができます。責任は大きいですが、その分やりがいや達成感も大きいです。また、医師と連携してチームで治療にあたる場面も多く、医療職としての成長を実感できる点も魅力だと感じています。

学生に教えるうえで、気をつけていることはありますか? 

心臓や血管などの病気に対するリハビリを扱う「内部系理学療法」を中心に授業を行っています。この分野は、見た目では分かりにくい病気を扱うため、学生にとってはイメージしにくく、苦手意識を持ちやすい分野です。そこで、実際の症例スライドや写真、動画、イラストなどを使い、できるだけ視覚的に理解しやすい授業づくりを心がけています。また、「まずはこの分野を好きになってもらうこと」が一番大切だと考えており、興味を持ってもらえるように、現場での体験談や患者さんとの関わりも紹介しています。好きになることで、自分から調べたり学んだりする意欲につながると信じています。

先生が考える豊橋創造大学の良いところを教えてください。

豊橋創造大学は、教員が学生一人ひとりにしっかり向き合い、勉強はもちろん実習や就職、生活面まで丁寧にサポートしてくれるのが大きな特徴です。大学院も併設されており、卒業後さらに専門的な研究を続けたい人や、将来大学教員を目指す人にも道が開かれています。他学科の先生とも連携しやすく、チーム医療を見据えた幅広い学びができる、あたたかくて実践的な大学です。

先生が考える理学療法学科の良いところを教えてください。

理学療法学科は、現場経験と研究実績の両方をもつ教員が多く、学問と実践のバランスが取れた教育を受けられるのが魅力です。授業ではグループワークや患者さんとの実践的な実習も取り入れ、知識だけでなく現場対応力も育てます。学生同士のコミュニケーションを重視し、チームで学び合える環境づくりも大切にしています。国家試験や就職に向けた支援体制も整っており、安心して学べる学科です。

先生ご自身は、どんな学生生活を過ごされましたか?

私は大学時代、授業や実習に取り組む一方で、整骨院でアルバイトもしていました。週に2回ほど働きながら、実際の現場での雰囲気や患者さんとの接し方を学ぶ良い経験ができました。また、プライベートでは大型バイクの免許を取り、いろいろな場所へツーリングに行くなど、学業だけでなく趣味にも積極的に取り組んでいました。勉強と遊びのバランスを取りながら、充実した学生生活を送っていました。

特に印象に残っていることはなんですか?

学生時代に心に残っている言葉があります。それは、ある教授が授業後に「理学療法を好きになってほしい」と話してくださったことです。この一言が、自分の学びに対する姿勢を変えるきっかけになりました。それまではテストのための勉強になりがちでしたが、興味を持って学ぶことで、より深く理解できるようになったのを実感しました。今ではその経験が、学生に教える際の大切な指針にもなっています。

理学療法士をめざす高校生にメッセージをお願いします。

理学療法士は、けがや病気で苦しむ人の回復を支えるだけでなく、病気を予防したり、生活をよりよくするためのアドバイスもできる、社会にとってとても重要な仕事です。大学では専門知識だけでなく、実習や失敗を通じて学ぶことがたくさんあります。効率だけを求めず、あえて遠回りしたり、失敗を経験したりすることが、理学療法士としても一人の人間としても大きな成長につながります。高校生のうちに完璧である必要はありません。少しずつ経験を積みながら、豊橋創造大学の先生たちと一緒に、人を支える力を育てていきましょう

研究者情報 湯口 聡