理学療法学科「先生に聞いてみた」 加藤先生

<所属・氏名>
保健医療学部
理学療法学科
教授
加藤 知佳子(カトウチカコ)先生

<基本情報>
これまでの経歴を教えてください。
お茶の水女子大学に入学して心理学を学び、そのまま大学院に進学しました。その後、本学が豊橋短期大学だった頃に秘書科の専任講師として着任。その後、経営情報学部の助教授、教授を経て、現在、理学療法学科の教授として心理学を教えています。
心理学者を目指したきっかけを教えてください。
「こころ」の世界に興味を持ったのは、幼稚園の時です。遠足で動物園に行って、そこで見た象の絵を描いたのです。象は砂浴びをして黄土色だったので、黄土色か黄色の象を描きました。そうしたら、先生が「象はこんな色ではない」と言ったのです。それで、私が見た象と先生が見た象は同じ象だけれど、見えている象はそれぞれ違うのだということに気づきました。その後、幼稚園の先生から母が呼び出され、色覚異常ではないかと言われたということを、何かにつけて母から聞いていたので、強烈にエピソードとして記憶に残っています。その時以来、「こころ」の世界には興味を持っていました。
一方、高校の時、数学者の秋山仁先生に教わる機会があり、研究者として生きていくという道があることを知りました。本当は、秋山先生のように数学科に進みたかったのですが、とてもその能力はなかったので、小さい時から興味のあった「こころ」の世界を探求する心理学の分野に進むことにしました。

<教員・研究>
先生はどんなことを専門に研究をされているのですか?
はっきりとどの分野というのもなかなか難しいのですが、認知心理学、知覚心理学の分野の研究をしています。こころという主観的な世界も、科学的に扱うことが可能な分野があります。その研究方法を探ること自体がとても面白いと感じています。最近だと演劇や音楽のワークショップを通じてどんな学びが得られるかというような研究をしています。
心理学の研究の面白さはどういったところでしょうか。
心理学は、考え方次第だよねというような「答えがない」というイメージを持っている方が多いのですが、私がやっている分野は特に実験したり調査をしたりして、科学的に検証、方法を探るというようなことをしています。これは私の研究ではないのですが、たとえば、言葉が話せない赤ちゃんの気持ちをどうやって推測するかといったことに対して、研究の方法を工夫して少しずつ答えに近づく、というようなことをやっている分野なので、そこが面白いかなと思います。
学生に教える上で気をつけていることは何ですか?
本当に大事なこと・本質的なことにしぼって、教えるようにしています。また、科目の性質上、自分自身で検証することが可能なので、自分や身の回りの人という具体例で確認しながら理解するように促しています。たとえば、患者さんや相手の気持ちに共感しましょうということを教えるときに、条件をつけずに共感することはとても難しいため、実際に目の前にものすごく怒っている人がいるというように極端な例を想定してもらい、イメージしやすい例を使って説明しています。

先生が考える豊橋創造大学の良いところを教えてください。
小規模な大学でとてもアットホームなところです。人数も大学の学科の数も多くはありません。全体的に規模が小さいため、学生一人ひとりに親身に対応できる。そんなところが気に入っています。
理学療法学科の場合は30人くらいのクラスに1人担任がつきますし、ゼミも10人前後の人数です。学生からも気軽に相談してもらえる距離感で、接することができています。
理学療法学科の良いところを教えてください。
とにかく、教員がとても優しいところです。国家試験対策も手厚く、指導も丁寧です。授業以外に国家試験対策を展開しており、グループ学習等も丁寧に指導しています。一人で勉強することが苦手な学生も合格までたどり着けるように、サポートをしています。自分で勉強をする習慣がなかった学生にとっても有難いと感じると思います。
先生ご自身の学生生活で印象に残っているエピソードはありますか?
大学院時代、顔の写真や絵を見て、描かれている人がどこを見ているのかをどのように判断しているのかを研究していました。修論準備中に、どういう顔を見るとどのように見えるかをシミュレーションする数式をずっと考えていたのですが、なかなか閃きませんでした。ある日、院生控室の机で仮眠をとっている時に、パッと閃いて思いつきました。実際にそれが合っているのかはわかっておりませんが、その時の喜びは今でも忘れられません。
理学療法士をめざす高校生にメッセージをお願いします。
理学療法士は、他の医療職に比べても同じ患者さんと長く付き合っていける仕事です。患者さんの長いリハビリの過程を伴走するとても重要な役割も果たします。患者さんの辛さに共感し、希望を失わずにリハビリを継続していけるよう支えなくてはなりません。自分とは異なる立場にいる人の気持ちを想像し、寄り添うことができる人になれるような理学療法士を目指してもらいたいと思います。そのためにも、勉強以外にも、いろいろな経験を積まれると良いと思います。

研究者情報 加藤知佳子