本研究科修了生の声と修了生アンケート結果
<本村 聖也 さん>
星城高校出身
専門学校星城大学リハビリテーション学院 理学療法学科
・今までの経歴を教えてください。(高校を出てから今に至るまで)
●名古屋石田学園 星城高校 普通科
中学校の頃から、看護師の母の影響もあり、理学療法士になることを夢にしていました。中学校の卒業文集にも理学療法士について書いた記憶があります。高校受験のパンフレットで学校法人の中に理学療法士関連大学と専門学校があることを知り、星城高校に見学へ行きました。その時に、学校法人内の専門学校の理学療法教員の方も見え、丁寧に理学療法士の仕事にについて教えていただける機会があり、星城高校への進学を決めました。高校に入学してからすぐに担任の先生に進学の相談をし、1年生の段階で専門学校星城大学リハビリテーション学院へ入学をすることを目標にして高校生活を送りました。
●名古屋石田学園 専門学校星城大学リハビリテーション学院 理学療法学科 卒業
大学ではなく、専門学校への進学を選択したのは、早く社会人になれること・高校生の時に専門学校星城大学リハビリテーション学院の教員と出会っていたことが進学の決め手として大きかったです。学生生活では、高校までの勉強と違い、楽しく講義を受けることができ、同じ目標をもった仲間と過ごすことができたことはいい思い出です。たくさんバイトをして、学生生活を満喫していました。臨床実習の指導者が大学院を卒業されている方々であり、理学療法研究についても臨床実習で知ることができました。研究を行うことに興味を惹かれ、専門学校の卒業時に、大学編入も悩みましたが、早く理学療法士として働きたかったことや恩師でもある先生方に「お前は臨床向きだ」と臨床に出ることを強く進められ、臨床実習先であった津島リハビリテーション病院への就職をしました。
●医療法人六寿会 津島リハビリテーション病院 就職(平成26年4月~平成30年3月)
臨床実習先である津島リハビリテーション病院へ就職をしました。就職の決め手は、指導をいていただいた理学療法士の方の姿を見て、一緒に働きたいと感じたことが一番の大きな決め手でした。就職してからも様々な先輩方々に指導を頂き、社会人として未熟な自分を成長させていただくことができました。1年目から3年目までは回復期病棟に勤務し4年目からは通所リハビリテーション部門に移動し地域リハビリテーションに携わりました。医療分野と介護分野に関わることができ、理学療法士としてたくさんの経験をさせていただくことができました。理学療法士1年目をこの病院で過ごせたことは理学療法士・社会人として良かったと感じています。
●独立行政法人 労働者健康安全機構 中部労災病院 転職(平成30年4月~現在)
中部労災病院は自分が理学療法士を志したきかっけとなった病院でもあります。中部労災病院は昔から脊髄損傷や切断のリハビリテーションに力を入れています。母親の職場の家族の方が、脊髄損傷となり、医師より社会復帰は難しいと宣告されたが、中部労災病院に転院してリハビリを頑張って、歩いて社会復帰をした話を母親から聞いたことが理学療法士を目指した最初のきっかけになります。歩けない方を歩けるようにすることができることは理学療法士の特権であるとこの時に感じ、素晴らしい職業だと感じました。いつか中部労災病院で働き、脊髄損傷・切断のリハビリテーションに関わりたいと思っており、理学療法士4年目の冬に中部労災病院と縁があり、理学療法士5年目より中部労災病院に勤務をしています。今は、急性期リハビリテーションを中心に、脊髄損傷・切断の方のリハビリテーションに関わることができ、理学療法士のやりがいを感じています。
・豊橋創造大学大学院に進学した目的、目標、夢を教えてください。
大学院に進学した目的は、一言で言ってしまえば「研究できるってかっこいいいな」と思ったからです。動機は単純ですが、日々の臨床疑問やまだ明らかになっていない事象などについて、自分の行う研究で解決できるようになればかっこいいなって思ったのが大学院の進学を目指した目的です。日々の臨床や職場で、自分で研究方法を学び、研究活動をすることも可能ではあります。大学院入学前から少しでではありますが、職場内で研究活動チームを発足し研究活動を行っていました。しかし、独学では研究の方法論の学びの限界を感じました。そのため、実際に研究活動を行っている大学院で学ぶことが効率よく、かつ深く学ぶことができると感じ大学院への進学を具体的に考えていくようになりました。臨床の中で、動作を診る理学療法士として、様々な動作を診て分析することは必要不可欠なことです。しかし、動作を可視化するツールは技術を学ぶ機会は理学療法士養成校では少なく、動作を可視化することはとても難しいです。そのため、大学院では、表面筋電図や動作解析などを用いた姿勢制御の解明に関する研究方法を学び、動作を可視化し、理学療法の発展に寄与していきたいと考えています。
・豊橋創造大学大学院を選んだ理由を教えてください。
大学院は愛知県外・県内といくつかの大学院と悩み、様々な大学院の教授に相談をしました。豊橋創造大学大学院はいくつかの候補の中でも一番気になっていた大学院でありました。理由は、自分の興味を抱いていた動作解析関連機器や動作解析を使用した研究実績が充実していたことです。実際に大学のホームページで重心・動作解析機器などを用いた研究を行っている指導教員の方々の研究実績を拝見しました。しかし、教授ら研究している対象者(疾患)と自分が研究してきたい対象者(疾患)が異なっていました。そのため、研究室に対応していただけるか不安はありました。しかし、冨田秀仁教授に研究テーマについて相談をした際に、親身になって研究計画に関して考えてくださり、自分の考えている研究課題に対し「興味深い」と後押ししてくださいました。また、具体的な大学院での時間の使い方について相談をした際に、丁寧に対応をして下さり、指導教授の高い専門性と人柄に感銘を受け、豊橋創造大学大学院で十分に学習や研究が行えれば、研究者としての資質や実践的な知識と幅広い研究スキルが身に付けられると感じて豊橋創造大学大学院に決めました。(元々豊橋創造大学とは関係性はなく、冨田教授とも面識がない中、メールでアポイントを取り、大学に訪問しました。その際に、冨田教授に時間を作っていただき、色々と相談に乗っていただけたのが、冨田教授との初めての出会いでした。)
・豊橋創造大学大学院で、どのようなことを研究されていますか?専門研究分野を教えてください。どんなところが面白いですか?専門研究分野の魅力を存分に教えてください。
●どのようなことを研究されていますか?
脊髄損傷者の動作の中でも必須動作となるプッシュアップ動作の重心・動作の解析を中心に研究を行っていく予定です。
●専門研究分野を教えてください。
まだまだ未熟者であり、専門研究分野があるといえるほどの者ではないのですが、専門にしていきたいと思っている分野は脊髄損傷者の姿勢制御・重心解析・動作解析です。現在勤めている中部労災病院は昔から脊髄損傷のリハビリテーションに力を入れてきており、今でも脊髄損傷者に関わる機会は多くあります。国内において脊髄損傷者の姿勢制御や重心・動作解析の研究を行っている研究者は他領域と比べても少ないです。そのため、脊髄損傷者における姿勢制御や重心・動作解析の研究はまだまだ発展の余地があると考えています。これから大学院で研究方法を学び、脊髄損傷の理学療法の発展に貢献していきたいと考えています。中部労災病院は全国的にも脊髄損傷の方のリハビリで有名母親が看護師で職場の人が脊髄損傷をして労災病院に来たんですね。それで歩けるようになったというのがきっかけで、中学校のときに理学療法士を知りました。
●どんなところが面白いですか?
まだ、入学して2か月なので、仕事と子育てと大学院生活を成立させていくことに必死で面白さよりも大変さの方が増しています。しかし、充実感もあります。この充実感は、今まで自分がやっていきたかった研究活動や講義での新たな学びがあるためだと感じています。
・豊橋創造大学大学院で学んで役に立っているあるいは役立てたいと考えていることを教えてください。
自分はリハビリテーション分野の身体運動制御学を専攻しています。しかし、大学院の講義では、他の研究分野や学科の教員の講義もあり、先行分野外の知識や視点を学ぶことができます。後期になると看護学科の教員の方の講義も始まります。今まで、看護師さんとは業務で関わることがあっても講義という形で学ぶ機会はありませんでした。専攻分野以外の教員の方の講義があることは様々な知識を深まることで物事の考え方や捉え方を考え直すことができ、豊橋創造大学大学院で学ぶ良いことだと感じています。また、研究室では、研究を行う・論文を書くのみでなく、研究を行うまでの過程について手厚く指導をしていただけています。研究を行うまでの知識の整理や手順などを学ぶことは大学院を卒業してからの研究活動にとても役に立つと思っています。研究活動に自身がない方でも、大学院生活を送ることで、研究活動について色々と知識を増やしていけるのではないかなと思います。
・豊橋創造大学大学院の良いところを教えてください。
●リモート対応を採用していること
職場へは自宅から1時間、通学には職場から1時間30分ととても移動に多くの時間がかかってしまいます。すべての講義ではないですが、リモート対応して下さることで移動時間の短縮ができ、他に時間を使うことができています。子育てをしていて、2歳と3歳の子がいるので、リモートの日は保育園にお迎えに行って、子どもをお風呂に入れて、食事も食べさせられるので、助かっています。始まる時間も20分遅くしてくださっているので、本当にありがたいです。
●個人に合わせた研究指導を行っていただけること。
大学院入学の段階では、臨床経験や年齢など、研究に関する知識の差はあると思いますが、一人一人に応じて指導をしてくださいます。
・大学院生活で楽しかったエピソードを教えてください。(学びについて、プライベートについて)
まだ、入学して2か月ですが、大学にいける日は毎日が楽しいです。30歳を過ぎて、学び直せる日々に楽しく感じています。
・将来の夢や目標を教えてください。
自分の論文が様々な人の目に触れ、患者様に還元されるような研究を行いたいと思っています。また、指導教員を超えられるような研究者になりたいと思います。どれだけ優れた理学療法士であっても、どんなに優れた教授であっても、目の前の患者さんしか治せないです。研究をしたら、その研究成果が、世界中の人たちの目に触れて、自分の知識とか研究した内容が患者さんに還元されれば、そんな素晴らしいことないなと思って、研究をしていきたいと思っています。そのために大学院で学んで、質の高い研究したいと思ってきたので、それを叶えたいです。論文を書いて、それが他の人たちの目に触れるところまでが、研究する意味があるのかなと思うので、そういうところをできる研究者であり理学療法士になりたいなというのが将来の夢であり目標です。
・今一番目標にしている人は誰ですか?
職場の上司です。脊髄損傷について、理学療法の世界では日本で知らない人はいないっていう上司が職場にいて、その上司のおかげで今の職場があって、僕たちが外に出ても、中部労災さんですねって言ってもらえるので、その上司は多分超えられないんですけど、超えていきたいし、あと2年で定年を迎えられるので、上司がいる間に、何か形にしたいと思っています。感謝の言葉だけでなく、何か目に見えるものを見せて恩返ししたいです。しっかりと大学院で成果を出して、上司の後継者に名乗りを上げたいなとは思ってます。
・大学院入学を検討している方(大学生、社会人それぞれ)へのメッセージをお願いします。
自分は、26歳で結婚し、27歳・29歳の時に出産を経験し、31歳で臨床11年目にして社会人大学院生として入学をしました。仕事と大学院での研究活動と両立していけるか不安な方もいるかと思います。社会人大学院生として職場の理解は業務調整や研究支援の面で必要不可欠です。信頼できる上司に一度相談してみることが大学院進学への一歩前進かと思います。また、子育てもある方々は子供と過ごす時間が減ってしまうこと・家族時間が減ってしまうことを心配する方もいるかと思います。時間の使い方にもよりますが、保育園のお迎えやお風呂を一緒に入ったり、習い事のプールや体操教室に連れて行ったりと意外とプライベート時間も確保できます。しかしながら、妻(夫)の理解は必要不可欠です。自分の妻は理学療法士であり、自分の理学療法士としてのキャリアアップへの理解を示してくれています。また、自分が大学院生活をしながら子育てに参加できているのは、妻が家事を頑張ってくれているおかげでもあります。妻への感謝は忘れません。妻の理解と支えがなければ成り立たない生活をしていると感じます。しかし、大学院で学びたいと思っているのであれば、挑戦してみる旨を妻もしくは夫にぶつけてみてください。意外と応援してくれます。まずは、職場の信頼できる上司・家族に相談をして、大学へ訪問してみてください。大学院に行きたいと思うなら、まずは職場の理解が必要なので、職場の先輩に相談してみてください。そしてあとは家族の理解さえあれば、結婚してても出産してても、大学院に来ることは可能だと思います。私は、県内外問わずたくさんの大学院を比較して、本学に入学しましたが、本学には知っている教授がいるわけではなかったので、ホームページをみて、そこに書いてある教授のメールアドレスに直接、訪問したいという連絡をしました。自己紹介の状態からあっという間に進展して入学につながりましたので、まずは一歩踏み出すことが大事だと思います。
<後藤 亜由美 さん>
愛知県立豊丘高等学校
豊橋創造大学 リハビリテーション学部 理学療法学科
・今までの経歴を教えてください。(高校を出てから今に至るまで)
愛知県立豊丘高等学校(普通科)卒業
本学リハビリテーション学部(現:保健医療学部)理学療法学科卒業
本学大学院健康科学研究科健康科学専攻修了、修士(健康科学)
京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻博士後期課程修了、博士(人間・環境学)
順天堂大学大学院スポートロジーセンター博士研究員、中部大学生命健康科学部生命医科学科助手を経て現職
・豊橋創造大学大学院に進学した目的、目標、夢を教えてください。
卒業研究で研究手法を学ぶうちに、未知の事象の解明にチャレンジしていくことのワクワク感とそれが解明できた時の達成感を味わうことができました。一方で、臨床実習で患者様の理学療法の治療に携わらせていただいた際に、治療に対する科学的根拠を提示することが出来ず混沌とした気持ちを抱えていました。今は研究に携わる理学療法士の方は大変多くなっており理学療法の研究分野は大きく発展していますが、当時は臨床現場で働かれている理学療法士が研究に携わることが今ほど多くはなかったように感じます。そのような混沌とした気持ちを抱えながら指導教員の先生に相談したところ、「あなたが理学療法の研究分野を引っ張っていく人材にになって世界を大きく変えなさい」と言葉を頂いたのがきっかけで、研究の基礎について学ぼうと考えて大学院に進学しました。
大学を卒業してそのままここの大学院に入学しました。
実習に行った時に、理学療法はまだまだエビデンスが乏しい分野の学業で、科学的根拠を見出せる分野に出して臨床に出た時にエビデンスがないという葛藤を指導教員だった後藤勝正先生に言ったら、「あなたが研究者になればいいじゃん。それで解決するんじゃないの」と言われて、進学を決めました。ほかの大学院も検討しましたが、やはり学部時代に慣れ親しんだ大学から飛び出る自信がなかったです。
指導教員の後藤先生について
昔よりは恐れ多いという感覚はなくなりました。やっと同じ視線を向いて、話ができるようになったかなというのが自分の成長かなと思っています。今でも教えてもらうことがほとんどですが、自分の意見を言いつつ研究の話ができるようになったのは大きな一歩かなと思います。
・豊橋創造大学大学院を選んだ理由を教えてください。
卒業研究の指導教員の先生の下で、卒業研究だけでは学びきれなかった多くのことを学びたいと感じたからです。先生の研究室では骨格筋に関する最新の知見を多くの国際誌へ掲載されているのを知り、世界レベルの研究ができてなおかつ自分自身も大きく成長できると思ったからです。さらに世界レベルの研究機材が充実していたことが大きな決め手でした。
・豊橋創造大学大学院で学んで役に立っていることを教えてください。
本学の大学院では研究基礎の基盤のみならず現代的な課題に対して学術的な知識・技術を備えるとともに、指導的な役割を果たせる研究者として教育を受けました。そのおかげで外部の大学院や研究施設に行った際も主体性をもったリーダーとして研究活動に従事できました。また本学は研究分野の垣根を超えて様々な分野の先生が自身の研究をブラッシュアップしてくれるような環境で学べると感じました。研究の知識や基礎だけじゃなく、今、どんなことが現代の健康問題として取り上げられているのかということを学ぶ機会が多かったです。特に自分たちのときではちょうど高齢社会に突入している段階で、そもそも高齢者に対するいろんな取り組みをしていかないといけないというような時代で、自分は筋肉を高齢者にたいしてつけていかないといけないと、取り組まないと思わせてもらった。様々な方が学生として在籍するので、いろいろな視点を持った方とディスカッションができます。私が考える問題はこんなのがあって、別の視点ではこんなのがあってという話ができたことはとても良かったです。
・豊橋創造大学大学院の良いところを教えてください。
先生方が熱心に指導してくださるところです。決して大きな大学とは言えないですが、その分先生方との距離や壁を感じず、枠にとらわれないオーダーメイドの授業展開をしてくださいます。また職業や年齢問わず様々な経歴を持った方が在学しており、多種多様な考え方に触れることができました。小さい大学だからこそ、先生と密に指導してもらえます。定員が6人なので、一学年6人です。私の時は7人いました。それぞれの先生に1人とか2人とかついて学びます。講義も7人で受けました。学生そのまま上がってきている方ばかりではなく社会人の方もいます。ほとんど病院の理学療法士の方、保健師の方などいました。学生さんの今までの専門や研究分野によって、合わせた指導をしてくれる。いろんな分野の学生がいることで、知らない分野のことも基礎から教えてもらえるし、知らないことを知れる機会にもなって、良かったです。
・現在、何を専門に教えていますか?専門研究分野を教えてください。どんなところが面白いですか?専門研究分野の魅力を存分に教えてください。
授業は理学療法基礎実習、内科系評価実習、生理学実習、発達障害理学療法学実習、体表解剖学実習など現在は骨格筋の可塑性や代謝、骨格筋―脂肪細胞の組織間ネットワークについて研究をしています。また高齢者を対象とした運動介入の効果についての検討や予防リハビリテーションにも従事しています。健康長寿の鍵を握っているのは骨格筋であると考えており、超高齢社会を迎えた我が国にとって高齢者に対する骨格筋量の維持・増加に対するアプローチは重要な課題であると考えています。理学療法士の治療において骨格筋に対するアプローチがありますが、例えば筋をストレッチすると筋は引き伸ばされていることは理解できると思いますが、実は目には見えない細胞内タンパク質や遺伝子がストレッチに反応して様々な応答が起こっています。私はこのように外から見えない細胞レベルで骨格筋の萎縮・肥大に関連するメカニズムの解明について研究しており、最終的には怪我や疾病で運動できない方に対する骨格筋の維持・改善するための方策を開発したいと考えております。
・学生に教える上で気をつけていることは何ですか?
授業を行う上では、教科書のみの資料提示だけではなく、研究分野での最新の論文知見の紹介や実際に自分がしてきた研究や臨床での経験などを交えて授業を展開することを心掛けています。自分が経験してきたこと、取り組んできたことを出来る限り簡単に嚙み砕いて伝えることで、「私にしかできない授業」になるよう努力を積んでいます。講義をする時には、教科書に書いていることだけではなく、教科書に載っていないような研究ベースのことも少し交えて、噛み砕いて噛み砕いて分かりやすく教えるようにして、少しオリジナリティを出せるようにしています。論文を引っ張ってくる力、調べる力というのは大学院を卒業したからこそ身についた力だと思うので存分に発揮していきたいです。
先生ご自身はどんな学生生活を過ごされましたか?
・学生生活で印象に残っている学びのエピソードはありますか?
指導教員の先生からは積極的に学会で発表する機会をいただくことができ、2度の国際学会発表を経験しました。英語で発表する機会は経験したことがなく不安で押し潰されそうになりましたが、指導教員の先生の熱いご指導のおかげもあって無事プレゼンテーションすることができました。1つは学会賞を受賞し、その成果をもとに大学の学長賞もいただくことができ、大きな自信を得ることができました。学会賞を受賞したものは、骨格筋の筋肉が増えたりする時に脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンが筋肉から分泌されているのでないのかという仮説を立てて研究しました。筋肉が増えたり減ったりする時に量が変わるのは意味があるんじゃないのかと。なんでかということまでは解明できていないのですが、糖の代謝に関わる物質なので、増えるということは糖代謝を促進しているので肥満の解消によい影響があるのではないかというようにまとめました。大学院時代は朝から夜中まで研究漬けの生活を送っていました。今考えると少しゾッとしますが、それでも日々研究に向き合えたのは、同じ研究室の仲間や先生方のおかげだと思っています。特に同じ研究室の仲間とは授業が終わった21時ごろから「ミーティング」と称して一緒に食事をしながら、日々の研究進捗状況の報告から時には恋愛に至る相談を通じてコミュニケーションを図り、共に励まし合いながら切磋琢磨した経験は今では本当にいい思い出です。
・学生生活で印象に残っている遊び・プライベートのエピソードはありますか?
大学院の学費を自分で賄っていたので、理学療法士としてのバイト代のほとんどを学費にあてていました。唯一の趣味はバイト代の残りを貯めて旅行に行くことでした。色々なところに行きましたがカンボジアに行った際には美しい世界遺産の建造物とは対極に悲しい歴史がある国であり、教科書でも学校でも習わない旅ならではの学習ができたと感じました。
デイケアのようなところで理学療法士のアルバイトをしていました。
・将来の夢や目標を教えてください。
自分が大学院生の時に指導いただいた「恩返し」として、今度は研究者を目指す学生に指導していくことで「恩送り」していきたいと考えています。また「理学療法の研究分野を引っ張っていく人材にになって世界を大きく変える」という学生時代の夢を実現すべく、真摯に理学療法分野の研究を続けていきます。さらに自分の研究原点である母校に戻って当時の指導教員の先生と再び一緒に研究させていただく機会を頂けましたので、新たな研究分野の開拓を狙っていき豊橋創造大学が大きく発展していけるよう貢献していきたいと思っています。(個人的には楽して筋肉をつけながら脂肪が燃焼できる刺激を自分自身の体を使って探索ができたらいいなと考えています。)研究を続けていきたい。将来は理学療法の研究分野を引っ張っていける人材になっていきたいと研究者としての人材としてやっていきたいと思ってます。その中で、母校に戻ってこれたので、憧れの後藤先生と一緒に研究をして、これからは少しでも肩を並べて一緒に研究していけるといいかなと思っています。
・大学院入学を検討している方(大学生、社会人それぞれ)へのメッセージをお願いします。
大学生
社会は急速に超高齢社会を迎えており、健康に対して科学的な根拠に基づいた解決策を見い出し、指導できる人材が求められています。本学では多様なカリキュラムがあり、健康科学の専門家として活躍できるような教育が豊富にあります。ぜひ、本学で最先端の健康科学に対する知識・技術を持ち、将来的に健康科学を牽引する指導者として新しい一歩を踏み出してみませんか。これから指導者としてなっていきたい人とか、この業界を引っ張っていきたいっていう前向きな方にぜひチャレンジしてもらいたいです。また、本学はオーダーメイドの授業管理をしていただけるし、いろんなカリキュラムが揃ってます。理学分野だけでなく、看護分野や医療分野もあるので、しっかり知識を学んで臨床で働く人あるいは健康科学を牽引する指導者として引っ張っていける方にぜひきてもらいたいと思います。
社会人
社会人になり実務経験を積む中で、日々健康科学に対する多くの疑問が出ておられると存じます。その疑問について、本学の健康科学の専門家たちと一緒に研究を進めて解決しませんか。また、健康に関連する多種多様な専門家から最先端の健康科学に対する知識を学び、自身のスキルアップにチャレンジして新たなステップを踏み出してはみませんか。社会人になって、日々臨床でいろんな疑問に対面する時っていうのは多いと思います。患者さんに対して、なんでこの治療しているのに治らないとか療法があるのに、効果の検証がいまいちわからないっていうような多くの壁にぶつかってると思います。そんな方には、本学にはたくさんの専門家がいますので、日々の愚問を解決するための研究を一緒にしていけたらいいなと思います。
<山本 三樹雄 さん>
豊橋東高校出身
聖隷クリストファー大学 看護学科
・今までの経歴を教えてください。(高校を出てから今に至るまで)
学歴
・千葉大学 _教育学部(2001年~2003年【退学】)
・聖隷クリストファー大学 _看護学部(2003年~2007年)
職歴
・豊根村役場 _住民福祉課(2007年~2010年)
・コープあいち福祉サービス _地域包括支援センター(2010年~2016年)
・豊橋創造大学 _保健医療学部(2016年~2018年) 教員として働きながら大学院に入学
・東栄町社会福祉協議会 _地域包括支援センター(2018年~)
・どうして千葉大から聖隷クリストファー大学に移籍したのでしょうか
千葉大は、看護が有名な大学で、日本で最初に国立の看護学部ができたのが千葉大とのことです。教育学部に在籍していましたが、一般教養の授業で看護学を履修してすごく興味をそそられました。それから、私のころは就職氷河期の時代で、先輩たちが就職先がないと困っていたのを間近でみていました。これは資格を持っていたほうがいいなと思ったというのも理由です。
・当時、男性で看護師って珍しいと思いますが。
僕も田舎の生まれなので、男の人が看護師という認識はなかったのですが、千葉大学は本当に全国から人が集まってきてて、看護の中では千葉大学というところがあったので、結構男性がいたのです。男性も看護師になってもいいんだという発見もあって、自分の中の視野が広がったというか、なるほど選択していいんだと気づきました。
・保健師として働いている中で、大学で教えることになったのはどういうきっかけでしょうか
コープあいちが学生実習の受け入れ施設だったのです、蒔田先生が指導教員として来られていて、大学で教えてみませんかと声をかけていただいたのがきっかけです。
・現在の職場の紹介をお願いします。
人口2800人弱、高齢化率50%を超える山間部の町、東栄町の社会福祉協議会で保健師をしています。主に高齢者の相談業務や、介護保険関連業務、地域づくりなどに携わっています。職員10人ほどの小さな職場ですが、人数が少ないからこそ、職種・部署・事業所の垣根を超えた小回りの利く連携がとれています。さまざまな機関と協力しながら、地域の医療・福祉・暮らしを支える体制を目指しています。
・現在の仕事を教えてください。どんなことを主にしていますか?1日のスケジュールは?
高齢者への家庭訪問や、介護・生活に関する相談業務が主な仕事です。ほかには、地域住民とのワークショップ、介護予防教室などを行っています。 少し介護が必要な方や弱ってきている方への家庭訪問をしたり、介護予防教室を高齢者の集まりの集会所とかでやったりしています。けっこうずっと外回りをして、各ご家庭に様子を見に行っています。
・現在の仕事のやりがい、面白いところを教えてください。
高齢者の困りごとの解決や、生活をよりよくするお手伝いができること、住民と一緒にまちづくりに関われることにやりがいを感じます。高齢者から様々なお話が聞けることは、とても貴重な機会です。人生経験豊かな人たちの話は新しい発見があり、視野も広がります。まるで読書をしているかのような価値や楽しさがあると思っています。 困りごととか生活の相談で支援することが多いのですが、問題が解決して喜んでもらえた時とか、生活が続けられるねっていうふうに言ってもらえた時とかは、やっぱり嬉しいですね。それから、地域づくりのワークショップもやることがあって、住民の人たちといろいろ一緒にやるんですけど、事業に繋がってたりとか、住民の人たちが前向きな気持ちになっているのを見ると嬉しいです。
・困りごとってどんなこと?
例えば足腰が弱ってきてお店に行けなくなっちゃったからどうしたらいいかなとか、あとは掃除ができないとか、ちょっと今病気の療養中で体が動かせないけど、お風呂に入れなくて困ってるとかですかね。
・実際にゴミ捨てに行けないと言われたらどのような支援になるのですか?
ヘルパーさんの支援をコーディネートしたり、あとは住民にボランティアグループがあるので、ボランティアの支援に繋げるとか考えます。あとはリハビリをやって、ゴミ出しができるようになるのを目標にしてリハビリの調整したりします。家に1人で悩んでいるところを声をかけてコミュニケーションをとってより良い方法につなげていくと言うような感じです。
・どうしてこの職場を選んだのですか?入職した理由、決め手を教えてください。
学生時代から、生まれ育った奥三河で地域に貢献したいという思いがずっとありました。子育ても地元でしたいと思っていたので、地元に近い今の職場に入職を決めました。 創造大までは通勤に1時間20分ほどかかりましたので、通勤時間を短くしたかったということがあります。子どもとの時間を大切にしたかったんです。あとは、自分は生まれ育ったところで、何か地域のために仕事したいなっていうのをずっと思ってたので、いつかは地元に帰って働こうと思っていました。
・豊橋創造大学大学院に進学した目的、目標、夢を教えてください。
大学で働くことが決まった機会に進学しました。目的は、①学生にきちんとした対応ができるように自分のスキルを向上させたかったこと、②これまで取り組んできた保健師活動を振り返り、言語化したかったこと、の2つです。 学部生に教えるのに学部卒だとちょっとスキル不足ということもあり、蒔田先生に勧められて大学院に入学しました。
・豊橋創造大学大学院を選んだ理由を教えてください。
本学で働くことになり、そのきっかけをくださった蒔田寛子先生にご指導をいただきたかったからです。蒔田先生の研究分野にも関心がありました。 蒔田先生の研究分野は在宅医療や地域の多職種連携のような研究をされていました。私がずっと仕事として携わっていたのも高齢者の家庭訪問が主だったので、家庭訪問のときの支援についてちゃんときちんと振り返りながら、成果を出したいなと思って蒔田先生に指導いただくことにしました。
・豊橋創造大学大学院で学んで役に立っていることを教えてください。専門研究分野の魅力も教えてください。
文献の読み方、クリティークの仕方をじっくり教えていただいたこと、プレゼンを通して、分かりやすい伝え方について何度も考えたこと等、貴重な学びになりました。また、看護は多くの研究の上に成り立っているのだということが改めて分かり、表面的なこと、わずかな経験則で仕事をしていたことへの反省もありました。大学院で学び、研究したことで、現場に還元できたことがたくさんあります。 クリティーク=批判的に読み解くこと。批判って悪い批判じゃなくて、ちゃんとこの論文の矛盾点とか、本当にこれが正しいかっていうのをきちんと見極めることいろんなことを鵜呑みにせずに、ちゃんと自分で本当に正しいかどうかをしっかり見極めるっていうことが大事だなっていうのがよく分かりました。仕事してるときに、やっぱりいろんな事前の今までの調査を見たりだとか、文献読みながら仕事に取り組むときに何か書いてることが本当に正しいのかなっていうのは、ちゃんとしっかり読み込むっていう癖がついたかなと思います。仕事ではすごく役立ってます。
・現場に還元できたことの具体的なエピソードを教えてください
大学院で研究したのが一人暮らしの男性の認知症の人へどう支援するかということでした。3つのハードルがあって、まず一人暮らしということ、認知症ということ、男性の高齢者ということです。とても支援がしにくい対象を選んで研究をしていました。実際に現場に出てみると研究していたような方はたくさんいらっしゃって、こういうときにはこういう支援がいいかなとか、大学院でこんなふうに成果が出たから、この人に対してもこんなことが協力できるかなとかやっぱり自分の学んできたことをちゃんと1人のその高齢者とか困ってる人への支援の場面で生かすことができました。
・豊橋創造大学大学院の良いところを教えてください。
健康科学研究科には、さまざまな資格や経験のある方が学んでいます。私の同期や先輩には、看護師以外にも、理学療法士、養護教諭として仕事をされている方がいました。ディスカッション等でも、職種によって見方や考え方が違い、新鮮でした。 大学院で看護を学ぶとなると看護学研究科がほとんどなんですけど、ここは健康科学研究科っていって、看護の枠組みだけでなく、もっと幅広い枠組みで勉強できます。集まる学生も看護師だけでなく、私の学年は理学療法士の方と養護教諭の方がいて、ディスカッションも盛り上がりましたし、新しい視点が得られました。また、本学は事務の職員さんたちがものすごく親切です。もちろん研究や学びのことは教授に相談するのですが、それ以外のことで話を聞いてくれたり、手続きなども丁寧に教えてもらいました。いろんな職員の方に話しかけていただいて、進捗状況や論文良かったよとか言ってくれたり、すごく温かい人が多いです。学生のことを親身に考えてくれて、本当に助けていただきました。
・大学院生活で楽しかったエピソードを教えてください。(学びについて、プライベートについて)
先輩や同期とのディスカッションや、学会への参加など、目標に向かって一緒に学ぶ仲間ができたことがうれしかったです。プライベートでは、五平餅会をやったり、東京旅行に行ったり、ぞうきんがけ世界大会に出場したり・・・、楽しく過ごすことができ、同期や先輩のみなさんには本当に感謝しています。
・将来の夢や目標を教えてください。
漠然とした目標ですが、東栄町の医療・福祉・暮らしをよりよくすること、最期まで安心して暮らせる地域をつくることです。同じ目的を持った職場の皆と一緒に仕事ができることが、とても楽しいです。東栄町で働いてるんですけど、医療とか福祉を良くして、みんなが暮らしやすくなるといいなっていう、そういうことに自分も携わりたいっていうことと、高齢者が本当に多くて町内で病院が診療所になってしまって入院ができなくなっているので、町外に出ていく方もいるのですが、それでもずっとこの町にいたいと思う人たちを支えていけるような仕事ができたらなっていうふうに思ってます。
・大学院入学を検討している方(大学生、社会人それぞれ)へのメッセージをお願いします。
大学院での学びは、現場に還元できることが本当にたくさんあり、私は進学してよかったと思っています。仕事や家庭の事情などで、迷っている方も多いと思いますが、時間がたつほど進学が現実的ではなくなり、遠のいてしまうような気がします。やりたいと思っている今!ぜひ一歩を踏み出してみてください。 さきほど現場にどんなことが還元できるかというお話したんですけど、何かそれ以外にも、ちょっとプラスアルファの部分でのプレゼンがすごい多いので、人にわかりやすく伝える方法っていうのはやっぱりすごく考える機会になったりだとか、そういった仕事にも本当に生きてたりします。仮説立てて取り組んで評価まで結果目指していくっていう研究の一連を研究すると仕事への向き合い方とか、計画の立て方など、研究以外のところでも生きてくることも多いので、本当に進学して良かったと思っています。大学院に行きたいと思っている人は、ちょっと後回しにすると遠のいていってしまうと思うので、思い立った時に一歩踏み出したら良いと思います。仕事と生活、研究の両立は大変ですが、スケジュール管理が得意な方なら向いていると思います。逆に、大学からそのまま大学院に入る方はあまり深く考えずにチャレンジしてください。やはり大学の学部と修士課程は全く違っていて、受け身の姿勢で行くとギャップがあって大変だと思います。自分で研究をしたい、学んでいきたいと思うなら、ぜひ進学してみてください!
アンケート結果
設問:本研究科に入ってどう思いましたか。もっとも当てはまると思われる項目を1つ選択してください。
年度 | 良かった | 悪かった | いずれでもない |
2023 | 3 | 0 | 0 |
2022 | 2 | 0 | 0 |
2021 | 2 | 0 | 0 |
2020 | 3 | 0 | 0 |
2019 | 6 | 0 | 0 |
2018 | 6 | 0 | 0 |
2017 | 0 | 0 | 2 |
2016 | 4 | 0 | 2 |
2015 | 7 | 0 | 0 |
2014 | 2 | 0 | 0 |
2013 | 1 | 0 | 0 |
2012 | 3 | 0 | 2 |
合計 | 39 | 0 | 6 |
※卒業生アンケートより抜粋。2012年度卒業生~直近の2023年度(2024年3月卒)卒業生までを集計