理学療法学科「先生に聞いてみた」 金井先生

<所属・氏名>
保健医療学部
理学療法学科
教授・学科長
金井章(カナイアキラ)先生

<基本情報>
これまでの経歴を教えてください。
豊川市出身で、理学療法士になるべく名古屋へ通学して学びました。卒業後は「蒲郡市民病院」に就職し、約15年間、障がいを抱えた人たちのリハビリテーションに取り組んできました。病院に勤務する間も臨床研究や動作分析などの基礎研究、運動器疾患をテーマとした研究を続け、2002年に大学院に進学しました。その後、本学の教員となり現在に至っています。
仕事と並行して研究を続けていらっしゃったのですね。
やはり働きながらでは研究に十分な時間が取れず、大学教員を目指したのも、研究する時間を増やしたかったからです。大学は設備が整っており病院ではできないことができますが、実はマイナス面もあって……。病院なら患者さんから臨床的なデータがとれるのですが、大学ではできません。周りは健康な大学生ばかりですからね。そこが難しいところです。
理学療法士を目指したきっかけはなんですか?
母が障がいを持った子どもたちの施設に勤務していた関係で、その子たちを支える理学療法士という仕事があることを知りました。その方々の話を伺ううちに、自分も理学療法士になって人を助ける仕事をしたいと思うようになりました。

<教員・研究>
先生のご専門である理学療法学とは、どんな学問ですか?
人は直立して二本の足で歩くことができますが、関節の変形や痛みなど、何らかの問題を抱えると歩行が障がいされます。歩けなくなると仕事や通学だけではなく、自宅での日常生活も大きく制限されてしまいます。そのため、歩行などの基本的な動作能力の改善を図ることを目的として、筋力トレーニングや動作の練習を行うのが理学療法です。理学療法学の中でも、動作解析やバイオメカニクスといった分野が私の専門です。
理学療法はスポーツとも深い関わりがありますね。
スポーツで怪我をして競技が続けられない状態の人たちの問題を分析し、競技復帰へ繋げていくことも理学療法士の仕事です。病院に勤務していた頃、ケガをした中学生や高校生には、いま無理をしたら将来困るからと伝えるのですが、本人は「最後の大会だから出たい」、家族も「出してあげたい」と。葛藤があったりもしましたが、後で選手として復活したと聞くこともあり、自分のことのように嬉しくなりました。
臨床現場のご経験は、現在のお仕事に生かされていますか?
臨床で行われる理学療法は教科書通りではありません。患者さんの年齢や疾患の状態などにより大きく変わります。それらについて経験を踏まえて実情を伝えることができ、より臨床に結びつくような授業ができていると思います。理学療法の対象はさまざまなので、学生には、臨床に出てからも学び続けられるような基礎的な知識と技術を身につけてもらいたいと考えています。
現在進めていらっしゃる研究はありますか?
iPadなどで撮影した動画から、関節の動きを評価するシステムの研究を行っています。誰でもどこでも、簡単に人の動きの評価が行えるようにしたいと考えています。

先生が考える豊橋創造大学の良いところを教えてください。
豊橋という場所はとても暮らしやすく、豊川などの自然に囲まれた良い環境でじっくりと学ぶことができます。また、三河で唯一の理学療法士養成校であり、三河地域を中心に浜松などの静岡県西部、名古屋・尾張地区での就職や臨床実習が可能なのも魅力だと思います。
理学療法学科としてはどうでしょうか?
高い専門性を持つ優秀な教員が揃っており、全教員が親身になって学修を支援しています。また、地域への貢献活動も盛んです。先日は、新城にある工場で働く方を対象に、労働に伴う腰痛予防について講演を行い、人の体の仕組みや腰痛が発生する要因について知っていただくことができました。今後の腰痛発生予防の一助となったのではないかと思います。
昨今の学生にどのような印象を持っていますか?
真面目に取り組む学生が増えていますね。理学療法士になりたいという気持ちが伝わってきます。勉強と遊びの切り替えをうまく行えるようになれば、より良くなると思います。
先生ご自身は、どんな学生生活を過ごされましたか?
学生生活では、臨床実習が印象に残っています。実習の終了時に、担当させていただいた患者さんから手を強く握られ、「ありがとう」と涙ながらに言われた時は、理学療法士をめざして良かったなと実感しました。
理学療法士をめざす高校生にメッセージをお願いします。
理学療法士は、人を支えるとても大切でやりがいのある仕事です。病院だけではなく、地域の子どもや高齢者、スポーツ選手の支援から福祉機器の開発や基礎研究まで、理学療法士の活躍する場はどんどん広がっています。一緒に理学療法士をめざしましょう!

研究者情報 金井章