スペシャルインタビュー

理学療法学科「先生に聞いてみた」 横山先生

理学療法学科「先生に聞いてみた」 横山先生

<所属・氏名>

保健医療学部
理学療法学科
講師
横山真吾(ヨコヤマシンゴ)先生

<基本情報>

これまでの経歴を教えてください。

高校を卒業してから1年間の浪人生活を経験して、当時まだ少なかった理学療法が学べる大学に進学しました。大学を卒業して理学療法士免許を取得してからは、長崎県の病院で理学療法士として働きながら大学院に進学しました。6年間に渡り、昼は臨床、夜は研究という非常にハードな生活を送った後、教員として本学に赴任しました。2024年4月から教員生活12年目に入ります。

どうして理学療法士を目指したのですか?

学生にもたまに聞かれるのですが、「自分がケガをして理学療法士さんにお世話になって……」など、はっきりとしたきっかけはありません。私の場合は、高校時代に物理の科目が好きで、大学では「物理学」を学びたいと思っていました。「物理学」が学べる大学をいろいろ調べていたら、どういうわけか行き着いたのが「物理療法学」。「自分の好きな物理の知識がヒトの身体の治療に使えるなんて最高じゃん!」と思い、「物理療法学」が学べる理学療法学科を受験しました。理学療法士のことをよく知らなくて入学しましたが、今は理学療法士になって本当に良かったと思っています。

学生生活で、印象に残っているエピソードはありますか?

臨床実習で評価を担当した患者様の膝関節を曲げようとした時のことです。全然曲がらなくて、「なんでこんなに硬くなるんだろう? こんな状態でもストレッチをすれば良くなるの?」と感じたのを覚えています。大学時代のゼミの先生に聞いてみたら、「気になっただろ? 実はよくわかってないんだよ。理学療法士はこんなに関節を動かす仕事をしているのに、何で関節が硬くなるかを知らないのって恐くない? 文献を調べてそれでもわからないなら自分で研究して明らかにするしかないよ。」と言われました。このことが、臨床で働きながら研究も続けようと思ったきっかけです。

<教員・研究>

専門分野を教えてください。

「理学療法士及び作業療法士法」第2条では理学療法のことを「身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう」と定義されています。私はこの条文でいう「電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること」を専門に教えています。専門の研究分野は骨格筋生理学と物理療法学です。骨格筋は加齢や不活動などの悪いストレスを感じると萎縮しますが、運動などの適度なストレスを与えると肥大します。運動だけでなく、電気や温熱などの刺激でも肥大することが知られています。積極的な運動が難しい状況でも骨格筋を肥大させる、あるいは萎縮する度合いを軽減するような物理刺激を見つけるため、最近では「拡散型圧力波」に着目して研究を進めています。

「拡散型圧力波」? 初めて聞いた言葉です。

「拡散型圧力波」とは、いわゆる衝撃波です。骨格筋内部の硬くなってしまっているところに刺激を与えることで柔らかくする効果が期待されています。リハビリテーション分野のトピックとして注目されているんですよ。今では整形外科クリニックでも導入されているところが増えてきています。

この研究のどんなところに注目されていますか?

刺激条件が整うと、骨格筋の線維が太くなることを実際に確認できるんです。なぜそのようなことが起こるのかを解析していくのが楽しいですね。自分の研究の成果が将来患者様の役に立てたら幸せだと感じます。

先生が考える豊橋創造大学の良いところを教えてください。

まずは、学生と教員の距離が近いところでしょうか。ほとんどの学生と教員が気兼ねなく話せる関係にあると思います。大学全体に言えることですが、職員の面倒見が良いと思います。また、研究設備やネットワーク環境が整っているところも魅力だと思います。

学生に教える上で気を付けていることは何ですか?

教える側の一方通行にならないようにしています。座学であっても学生がどこまで理解しているのかを常に確認しながら進めています。また、実習では実際に体験してもらうことも大切にしています。体験をして何を感じるかが一番重要だと思いますので、その上で医学的な説明を加えるようにしています。

理学療法士を目指す高校生へのメッセージをお願いします。

今、日本は超高齢社会です。理学療法の対象となる高齢者はこれからもどんどん増え続けますが、理学療法士を目指す高校生が減ってきています。理学療法士は現代社会にはなくてはならない職業であり、すべてをAIで代替するのは難しいと言われている仕事の一つです。ここでは理学療法士の魅力について語りつくせませんので、少しでも興味が湧いたなら、一度本学の「理学療法士養成講座」に遊びにきてください。そこでいろいろお話ししましょう!

研究者情報 横山真吾