プレスリリース

末梢動脈疾患患者におけるサルコペニアの存在と下肢血管内治療後の歩数の関連

【プレス発表日】

 2024年 3月 8日
 

【タイトル】

 末梢動脈疾患患者におけるサルコペニアの存在と下肢血管内治療後の歩数の関連
 

【概  要】

下肢血管内治療(EVT)は、末梢動脈疾患(PAD)患者の間欠性跛行症状を改善させるものの、EVT後の身体活動量が低いことが大きな問題とされている。特に、PADによる慢性虚血によって引き起こされる筋肉量の減少(サルコペニア)が、EVT後の身体活動量に影響を与える可能性がある。本研究の目的は、サルコペニアとEVT後の身体活動量との関連を評価することである。

本研究は、岐阜ハートセンターにてPADの診断を受けてEVTが施行された105人の患者を対象とした。身体活動量は、身体活動量計を1週間以上貸し出しEVT後の1日あたりの平均歩数を調査し、EVT前については国際身体活動質問票を使用して評価した。サルコペニア判断基準に基づき、①筋肉量の低下、②筋力の低下、③歩行速度の低下より判断した。サルコペニアの診断(サルコペニア群)、筋肉量の低下または筋力の低下、および/または歩行速度の低下のみ(サルコペニア疑い群)、そしてサルコペニアの基準を全て満たさない患者(サルコペニアなし群)の3つのグループに分類し、EVT後の歩数を比較した。

その結果、サルコペニア群、サルコペニア疑い群、サルコペニアなし群の割合はそれぞれ31.4%、38.1%、30.5%であった。潜在的な交絡要因を考慮した結果、サルコペニア群は、サルコペニア疑い群(= .016)およびサルコペニアなし群(P = .009)と比較して有意に平均歩数が少ないことが示された(図1)。本研究は、サルコペニアがEVT後の身体活動量に重要な影響を及ぼす可能性があることを強調しており、PAD患者の管理においてサルコペニアの評価と対策が重要であることが示唆された。

【本件担当】
豊橋創造大学 保健医療学部 理学療法学科 瀧野皓哉
電話:0532-54-9605 メール:k-takino@sozo.ac.jp