スペシャルインタビュー

理学療法学科「先生に聞いてみた」vol.6 辻村先生

理学療法学科「先生に聞いてみた」vol.6 辻村先生

<基本情報編>

辻村先生の今までの経歴を教えてください。

理学療法士になった後、豊川市民病院で18年間働いて、その後、民間病院でも経験を積んだ後、豊橋創造大学で教員として勤務しています。

どういったきっかけで教員になったのですか?

病院内で実習生を指導した経験から、学生の学業に興味を抱き、それをきっかけに教育に携わりたいと考えました。

<教員・研究編>

辻村先生の専門研究分野を教えてください。

私の専門は疫学です。大学院では公衆衛生学を学び、その中で疫学に触れる機会がありました。疫学とは、集団の中で発生する病気や健康に影響を与える要因を調査し、発生原因や予防法などを研究する学問です。私は人の健康がどのように決まっていくかについて研究しています。

どんなところが面白いですか?

理学療法の臨床では、主に目の前にいる「一人の患者さん」に対して、その人が健康を取り戻し、日常生活に復帰できるように、「どのように援助すれば良いか」を考えます。一方で、疫学は集団を対象とし、集団としての健康に焦点を当てることが特徴です。集団を対象とした疫学、個人を対象とした理学療法の臨床と、どちらも視点が違う面白さがあります。

辻村先生が学生に教える上で気をつけていることは何ですか?

理学療法士になりたいという希望を持った学生さんなので、それぞれの希望に合った理学療法士になれるように指導しています。理学療法士は病院で患者さんを治療するだけでなく、地域など病院以外の様々な分野でも活躍ができる職業です。まず、どんな分野があるのかを学生に伝え、その上で彼らがやりたいことを実現できるようにサポートしています。

具体的にはどんな分野がありますか?

けがや病気など入院後すぐに病院で行われる理学療法やリハビリテーションの専門病院で行われる理学療法、入院せずに通って行う整形外科での理学療法、それに加え、地域に住んでいる高齢者に対する予防的な理学療法や子供を対象とした理学療法など、理学療法士が必要とされる分野は多岐にわたります。

いろんな道がある中、自分に合った道を選べるようにどんなサポートをしていますか?

カリキュラムの中には、病院で行う「臨床実習」という科目がありますが、それ以外にも理学療法士が関わりをもっている実際の場面をできるだけたくさん、学生が直接見学できるようにサポートしています。例としては、「地域リハビリテーション支援事業」という取り組みの一環で行われた、理学療法士がケアマネージャーさんに向けて、車椅子への座り方を伝える会に学生と見学に行きました。これは、日ごろ病院内で行われている理学療法の取り組みを地域で実践できるように支援する取り組みです。最近はこうした機会が増えています。また、豊橋市内で行われている介護予防活動に参加するグループの総合発表会である「介護予防大会」にも参加しました。ここでは、参加している高齢者に対しての体力測定会に参加しました。加えて作業療法士が行った講演会も見学しました。このように在宅で生活している高齢者への取り組みを見学しました。こうした体験を通じて、学生たちが自分に合った理学療法の分野や理学療法士像を見つけるお手伝いをしています。

辻村先生が考える豊橋創造大学の良いところは何ですか?

まずは地元豊橋に密着していることです。地域に貢献したいという意識が強く、実際に、地域の活動に参加し、貢献できていると思います。もう一つは学生と先生の距離が近いところですね。教員と学生が一緒になっていろいろな活動に取り組んでいます。

どのような場面で地域に密着していると思いますか?

先にお話しをさせていただいた介護予防大会での体力測定会など、地域の皆さんの健康をサポートするイベントにも多く協力させていただいています。科目としての「臨床実習」では、東三河にある病院に多数協力をいただいています。また、協力いただいている臨床実習施設の先生方の講演会も毎年開催され、地域に必要な理学療法について考える機会が多数あります。

<パーソナル編>

辻村先生が理学療法士を目指すきっかけを教えてください。

私は、九州出身です。そこでは毎年、車いすマラソンが行われていました。車いすを使っている方を街中でみかけることが普通の出来事でした。このような車いすを利用されている方の生活に関わる仕事がしたいと高校生の頃、考えるようになりました。そこでリハビリの仕事のことをしり、目指すことにしました。理学療法士は国家資格でもあり、「これだ!」と思いました。

辻村先生はどんな学生時代を過ごされましたか?

勉強漬けの毎日でした。当時の養成校は国からの補助もあり、一学年の学生数も少なく、学んだ知識をはやく国や地域、そして患者さんに還元することが強調されていました。臨床実習の期間も長く、学生生活3年間うち、のべ1年間は臨床実習を行った気がします。

一緒に学んだ仲間とは交流はありますか?

あります。私の学年は女子学生が多かったため、とても深い交流がありました。卒業後も子育ての話題を通じ、交流が続いています。一部の友人は子育てのために一時的に理学療法の仕事から離れましたが、その後、ほとんどの友人はまた理学療法士として復帰しています。国家資格であるという点は本当に強いポイントですね。
私は女子学生に、そしてもちろん男子学生にも、ずっと理学療法士という仕事を続けてほしいと思っています。特に女性にとっては、出産や育児などライフステージに合わせて仕事を自分から選択できる素晴らしい仕事だと考えています。繰り返しになりますが、理学療法士は国家資格です。国内どこに行っても、どんな働き方でも対応できるのが特徴です。医療でも介護でも、健康産業でも資格を持っていると本当にいろいろな分野で活躍できます。当時の仲間は今でも多様な分野で活躍しています。それぞれの分野でのアドバイスを聞くなど今も交流が続いています。
 

理学療法士を目指す高校生へのメッセージをお願いします。

理学療法とは、人が人に対して、体操など運動療法を用いて日常生活にもどる手助けをする仕事です。「人でなければできない仕事」という点が最も魅力的です。人と関わる仕事に就きたい、誰かの手助けをしたいと思っている人にとっては最高の仕事だと考えます。国家資格を持つことで一生続けられる仕事となるでしょう。是非とも一緒に頑張りましょう!

研究者情報 辻村 尚子