理学療法学科「先生に聞いてみた」 後藤亜由美先生
【所属・氏名】
保健医療学部
理学療法学科
助教
後藤亜由美(ゴトウアユミ)先生
【基本情報】
これまでの経歴を教えてください。
高校卒業後、豊橋創造大学の理学療法学科に進学し、理学療法士の資格を取得しました。卒業研究を通して研究の面白さに触れ、さらに専門的に学びたいと考えて、そのまま本学大学院の健康科学研究科へ進学し、修士号を取得しました。
その後、他大学の大学院で博士号を取得し、研究施設の博士研究員や大学の助手として、骨格筋を中心とした研究に携わりました。現在は母校である豊橋創造大学に戻り、理学療法学科の助教として学生の教育と研究に取り組んでいます。
理学療法士をめざしたきっかけを教えてください。
もともとは、得意だった化学や数学を生かせる薬剤師をめざしていました。しかし、進路を考え直す中で理学療法士という仕事を知り、地元で資格取得をめざせる豊橋創造大学に進学しました。
入学したばかりの頃は、理学療法士の仕事をまだはっきりイメージできておらず、理学療法士になるという強い目標を持つ友人たちに圧倒されることもありました。それでも、授業や実習を重ねる中で、理学療法やリハビリテーションの奥深さを知り、患者さんの身体だけでなく、その人の生活や人生を支える仕事に大きな魅力を感じるようになりました。今では、理学療法士の道を選んで本当に良かったと思っています。
現在のご専門分野・研究テーマと、その魅力を教えてください。
専門は、生理学・運動生理学・分子生物学です。現在は、加齢によって筋肉が減少する「サルコペニア」が起こる仕組みや、骨格筋の糖代謝を改善する物質について研究しています。
骨格筋は、身体を動かすだけでなく、血液中の糖を取り込み、血糖値を安定させる大切な役割も担っています。また、運動すると大きくなり、動かさない状態が続くと小さくなるなど、環境に応じて変化する力を持っています。
私が研究しているのは、筋肉が大きくなったり小さくなったりする時に、細胞の中で遺伝子やタンパク質がどのように働いているのかという、目には見えない仕組みです。その仕組みを明らかにできれば、高齢者の筋力低下を防いだり、病気やけがで十分に運動できない方の筋肉を維持したりする方法につながります。研究を通して、理学療法で行う運動療法の効果を科学的に明らかにし、より良い治療につなげられることに、大きな魅力とやりがいを感じています。
教育者として、学生と関わるうえで大切にしていることは何ですか?
私が学生と関わるうえで最も大切にしているのは、一人ひとりとしっかり対話することです。入学したばかりの頃は、理学療法士の仕事や将来の目標を、まだはっきり描けていない学生も少なくありません。実は私自身も、入学時から明確な目標を持っていたわけではありませんでした。
だからこそ、学生が感じている不安や疑問に耳を傾け、授業や実習での気づきを一緒に整理することを心掛けています。教員として一方的に答えを教えるのではなく、教員と学生という立場を越え、将来、医療を支える仲間として、丁寧に話を聞き、語り合いたいと思っています。
そうした対話を重ねながら、理学療法の奥深さや学ぶ楽しさを伝え、学生自身がやりたいことを見つけ、主体的に成長していけるよう支えていきたいと考えています。
【大学への思い、取り組み】
先生が考える、豊橋創造大学の一番の魅力は何ですか?
豊橋創造大学の一番の魅力は、「面倒見の良い大学」という言葉が、単なるスローガンではなく、教職員と学生の関係にしっかり根付いていることです。学生と教員の距離が近く、不安や悩みがある時には、教職員が一人ひとりと向き合い、親身に寄り添う温かさがあります。私自身も学生時代にその支えを実感しており、今も受け継がれている本学の大切な文化だと感じています。
また、温かい教育環境だけでなく、充実した実験・研究設備が整っていることも大きな魅力です。さまざまな専門分野の教員や学生が活発に研究に取り組んでおり、互いに刺激を受けながら学べる環境があります。安心して相談できる身近さと、本格的な学びや研究に挑戦できる環境の両方があることが、豊橋創造大学の強みだと思います。
現在特に力を入れている取り組みを教えてください。
現在、特に力を入れているのは、骨格筋に関する基礎研究と、地域での健康づくりの二つです。
研究では、大学の充実した実験設備を活用し、筋肉の変化や糖代謝の仕組みを細胞・分子レベルで詳しく調べています。研究によって得られた成果を、理学療法で行う運動療法の科学的な根拠につなげ、世界へ発信することをめざしています。
また、豊橋市内の就労支援施設で、身体や精神面に障がいのある方への運動指導にも取り組んでいます。研究室で身体の仕組みを明らかにするだけでなく、そこで得た知識を地域の方々の健康づくりに生かすことも大切にしています。基礎研究と地域での実践の両方を通して、科学的な根拠にもとづくリハビリテーションを、豊橋から発信していきたいと考えています。
これからの大学生に必要な変化や挑戦について、どのようにお考えですか。
これからの大学生には、「用意された正解を覚える学び」から、「自分で問いを見つけ、答えを考える学び」へと、学び方を変えていくことが必要だと思います。社会に出ると、あらかじめ模範解答が用意されていない課題に数多く出会います。だからこそ、「なぜこうなるのだろう」「もっと良い方法はないだろうか」と疑問を持ち、自分の頭で考え抜く力を身につけてほしいです。
また、自分の専門分野だけにとらわれず、一見関係のない分野にも興味を広げてほしいと思います。私自身も、細胞や分子を調べる基礎研究と、地域の施設で行う運動指導の両方に取り組んでいます。異なる知識や経験を組み合わせることで、新しい発想や自分だけの強みが生まれます。
これまでの常識が次々と変わる時代だからこそ、失敗を恐れず、さまざまなことに関心を持って挑戦する姿勢を大切にしてほしいですね。
先生は学生時代、どのような学生でしたか。熱中していたことはありますか。勉強、部活動、アルバイト、趣味など印象に残っていることを教えてください。
学生時代の私は、とにかく元気で、旅行や食事会の計画を真っ先に立てるようなタイプでした。特に旅行が好きで、さまざまな土地を訪れ、自然や遺跡、その地域の文化に触れることで、自分の世界が広がっていくことを楽しんでいました。
一方で、勉強にも本気で取り組んでいました。少しでも学費の負担を減らすため、成績上位をめざして授業や試験に励んでいました。また、当時は小児リハビリテーションに興味があり、障がいのある子どもたちとボッチャを楽しむサークルにも参加していました。さらに、3つのアルバイトを掛け持ちしながら、学びにも遊びにも全力で取り組んでいました。
忙しい毎日でしたが、興味を持ったことに迷わず挑戦した経験が、今の行動力や粘り強さにつながっています。学生の皆さんにも、勉強に限らず、夢中になれることを見つけ、大学生活を思い切り楽しんでほしいと思います。
周囲の方や学生から、どのような人だと言われることが多いですか。
周囲からは、「とにかく元気で明るい先生」と言われることが多いです。学生時代から変わらない行動力で、周囲を明るくしながら引っ張っていくタイプだとも言われます。
一方で、最近は学生から「小さな変化や悩みに気づいて、そっと寄り添ってくれる」と言ってもらえることも増えました。そうした言葉は、とてもうれしく感じています。
元気に背中を押すだけでなく、困った時には安心して相談できる存在でありたいと思っています。学生が困った時に、実家へ帰った時のようにほっとして相談できる、温かい教員でありたいと思っています。
理学療法士をめざす受験生や高校生にメッセージをお願いします。
大学では、授業や実習、先生や仲間との出会いを通して、自分でも気づいていなかった興味や可能性を広げることができます。理学療法は、患者さん一人ひとりの身体や生活に合わせて、より良い支援を考えていく、正解が一つではない仕事です。
私自身も、最初から理学療法士をめざしていたわけではありません。進路を考え直したことをきっかけに豊橋創造大学へ進学し、授業や実習、研究を通して、自分の進みたい道を見つけました。最初から将来が明確に決まっていなくても大丈夫です。
思うようにいかず、迷ったり壁にぶつかったりすることもあると思います。でも、豊橋創造大学には、学生の悩みに耳を傾け、親身に支えてくれる教員がいます。全力で学び、全力で遊び、さまざまな経験をしてください。その一つひとつが、自分の世界を広げ、将来の力になります。皆さんと一緒に理学療法の未来を考え、挑戦できる日を楽しみにしています。