スペシャルインタビュー

理学療法学科「先生に聞いてみた」 後藤先生

理学療法学科「先生に聞いてみた」 後藤先生

【所属・氏名】
保健医療学部
理学療法学科
副学長・健康科学研究科長・教授
後藤勝正(ゴトウカツマサ)先生

【基本情報】

これまでの経歴を教えてください。

高校卒業後、大学の教育学部に進学し、中学校・高校の保健体育の教員免許を取得しました。大学院では運動生理学を専門に学び、教育学修士を獲得しています。
その後、医科大学で骨格筋生理学を中心に研究に取り組み、助手や講師を経験しました。博士(医学)を取得し、2006年から豊橋創造大学で理学療法学科の教育・研究に携わっています。現在は教授として学生を指導するほか、健康科学研究科長や副学長も務めています。

体育教員志望から研究者へ進路を変えた背景には、どのような思いがあったのですか?

もともとは、高等学校の先生になって部活動を指導したいという思いから、保健体育教員をめざしていました。大学でもバスケットボール部に所属し、4年間競技を続けました。
転機となったのは、大学3年次の卒業研究のための研究室配属です。研究室に配属され先輩たちの研究を目の当たりにして、研究という世界の存在を知り、次第に「なぜ、このような変化が起こるのだろう」と疑問を抱くようになり、そしてそれを自分の手で確かめていくことに面白さを感じました。このように、まだ分かっていないこと(未知の知)を探求する研究の魅力に惹かれ、研究者の道へ進むことを決意しました。

現在のご専門分野・研究テーマとその魅力を教えてください。

専門は骨格筋(身体を動かすための筋肉)生理学で、運動や加齢、病気などによって、筋肉がどのように変化するのか、そして健康長寿を実現するために骨格筋機能を保持する方法を追究しています。
筋肉は、鍛えれば大きく強くなり、反対に、使わなければやせていきます。現象そのものはよく知られていますが、「なぜ、そのような変化が起こるのか」は、まだ十分に分かっていません。
その仕組みを明らかにできれば、より効果的なトレーニングやリハビリテーションの方法を考えたり、病気や加齢による筋力の低下を防いだりすることにつながります。身近な筋肉を研究しながら、人々が健康に長く生活できる社会に貢献できることが、この分野の大きな魅力です。

教育者として、学生と関わるうえで大切にしていることは何ですか?

学生には、自分で考え、やりたいことを見つけて、自ら行動できるようになってほしいと考えています。大学は、誰かに答えを教えてもらうところではなく、誰も知らない未知の知を探求していく場所です。授業は、探求するためのツールを獲得するためのものです。
豊橋創造大学には、学生に親身に寄り添う教員が多くいます。だからこそ私は、あえて違うスタンスをとっています。例えば、質問されてすぐに答えを示したり、何でも先回りして手助けしたりするのではなく、学生がまず自分の力で考える時間を大切にしています。社会に出れば、いつも誰かが答えを用意し、助けてくれることはほとんどないからです。
もちろん、学生が「これを学びたい」「新しいことに挑戦したい」と自分から一歩を踏み出した時には、しっかり応援します。手を差し伸べるだけでなく、自分で動き出せるよう見守ることも、教育者としての大切な役割だと思っています。

【大学への思い、取り組み】

先生が考える豊橋創造大学の魅力は何ですか? 

豊橋創造大学の魅力は、大学全体がコンパクトで、学生と教員の顔が見える距離にいることです。少人数で学ぶため、教員の目が学生一人ひとりに届きやすく、学生が相談したり挑戦したりした時に、しっかり応えられる環境があります。
また、骨格筋をはじめとする健康科学について、本格的に学び、研究できる設備が整っていることも特長の1つです。学生が自分の興味を深め、実際の研究に触れられる環境があることは、学生の将来の選択肢を増やすという意味で重要なことと思います。

充実した研究設備を、学生の学びにどのように生かしていきたいですか?

どれほど良い設備が整っていても、実際に使われなければ、その価値を十分に活かすことはできません。大切なのは、設備をそろえるだけでなく、それを使って新しいことを調べたり、学びを深めたりできる人を育てることです。
学生には、設備をただ見るだけではなく、興味を持ったことを自分で確かめ、研究や学びにつなげてほしいと思っています。充実した設備を十分に生かし、それを使いこなせる人材を育てることで、豊橋創造大学ならではの学びにつなげていきたいと考えています。

副学長として、特に力を入れている取り組みを教えてください。

副学長として、豊橋創造大学の魅力をより多くの高校生に伝え、「ここで学びたい」と思ってもらえる大学づくりに力を入れています。
少人数で学生と教員の距離が近いことだけでなく、入学後にどのような知識や技術を身につけ、どれだけ成長できるのかを、分かりやすく伝えることが大切と考えています。学生自身が「この大学でこんなことを学べた」「こんなことができるようになった」と、自信を持って語れる大学をめざしています。
また、スポーツ医科学の分野では、外部の専門機関との連携を生かし、その知識や技術を大学の教育に取り入れていきたいと考えています。

スポーツ医科学の取り組みを進める背景には、どのような課題意識がありますか?

競技力向上はもちろん健康のために運動を始めても、けがをきっかけにやめてしまう人は少なくありません。そうです。運動とけがは表裏一体と言ってもよいほど、運動にけがは付き物です。ですので、単に「運動をしましょう」と勧めても、けがや病気の後にどのように回復させて、どのようなタイミングで運動や競技に復帰すればよいかがわからない人がほとんどです。このタイミングを間違えると、再度のけがに見舞われ、本当に運動・スポーツを断念しなくてはならなくなります。
なので、運動を単に勧めるだけではなく、如何にしてけがを防ぐか、ケガしてしまったらどのような治療を選択し、回復を促し、そして再び運動に復帰するまでを支える仕組みがないと、運動人口はなかなか増えないのです。
そこで本学では、スポーツ医科学の専門的な知識や技術を教育に取り入れ、一流のプロフェッショナルアスリートはもちろん健康のために運動する地域の方々も支えられる人材を育てるべきと考え、そうした仕組みを確立したいと考えています。

これからの大学に必要な変化や挑戦について、どのようにお考えですか?

大切なのは、「先生が優しい」「設備が整っている」ということではありません。学生自身がその環境を生かして何を学び、何ができるようになったのかを実感できる教育が必要だと考えています。
学生が「この大学で、こんなことができるようになった」と自分の言葉で語れる大学にしていくことが、これから求められていくと思っています。

理学療法士をめざす受験生や高校生にメッセージをお願いします。

本来、大学は、興味を持ったことを自ら調べ、先生や仲間に質問し、様々なことに失敗を恐れずに挑戦していく場です。この挑戦は、大学の中だからできるので、社会に出てしまうと失敗ができなくなります。大学での授業は、こうした自ら調べたりする際に必要な知識つまりツールを得るために受講するものです。決して受け身になることなく、自らが定めた目標に向かって挑戦し続けてほしいと思います。もし、その目標がうまく描けない場合は、教員に相談してほしいと思います。ある意味、教員は水先案内人です。
私自身も、教員をめざして大学に進学しましたが、卒業研究を通して、当初は思い描いていなかった研究者という道に出会いました。大学では、最初からめざしていたものだけでなく、思いがけない学びや将来を見つけることがあります。
思いどおりのものを得て夢を実現することもあれば、予想もしていなかった出会いや経験が、大きな将来につながることもあります。そのすべてが、自分の可能性を広げる大切な経験です。何でも自分でつかみ取るという気持ちを持って、大学で失敗を恐れず多くのことに挑戦してください。