スペシャルインタビュー

理学療法学科「先生に聞いてみた」 彦坂先生

理学療法学科「先生に聞いてみた」 彦坂先生

<所属・氏名>

保健医療学部
理学療法学科
助教
彦坂 潤(ヒコサカジュン)先生

<基本情報>

これまでの経歴を教えてください。

私は地元・豊橋市の高校を卒業後、豊橋創造大学の理学療法学科に進学しました。まだ新設されたばかりでしたので、3期生として入学しました。卒業後は豊川市の総合青山病院で約6年半、理学療法士として働きながら、本学の大学院にも通いました。病院での経験を積んだ後、母校であるこの大学に戻り、現在は助教として勤務しています。また、現在は、理学療法の知見を拡げるために、工学系の大学院博士課程に在籍し、研究活動にも力を入れています。

大学で学生を教えながら大学院にも通われているのですね。

はい、現在は豊橋創造大学で学生に授業をしながら、新潟県長岡市にある大学の大学院博士課程にも在籍しています。通っているというと誤解を生むかもしれませんが、リモートと対面のハイブリッド形式で、指導教員が浜松在住ということもあり、豊橋まで来ていただき本学の実習室で指導していただくこともあります。授業ではその研究経験を活かして、より実践的な内容を学生に伝えることも心がけています。学びながら教える立場でもあるので、学生と一緒に成長していけるのがとても楽しいです。

<教員・研究>

先生の専門研究分野を教えてください。 

私の専門は「バイオメカニクス(生体力学)」です。本学に設置されている三次元動作解析装置を使用して人の動きを解析することで、怪我の原因や、適切な身体の使い方を解明する研究を行っています。たとえば、体幹や股関節の動きが膝関節にどのような影響を与えるのかを調べることで、前十字靭帯損傷の予防やより良い治療法の開発に役立てています。また、大学院の研究テーマはリハビリ機器の開発で、特に立つことや歩くことが難しい方のために、体を支えながら練習できる装置の改良に取り組んでいます。医療とものづくりの両方の視点から研究を進めています。

どういったところが面白い点ですか。

まだ解明されていないことが多い人の動きを、データから少しずつ読み解いていくのがとても面白いです。とくに、膝の前十字靭帯損傷の原因については未だ解明されていないことが多い一方で、スポーツ復帰のためには多くの場合手術を行う必要があり、長期間スポーツから離れる必要があります。中高生に多いけがなので、運動部に所属する方にとっては影響が大きいです。そういった大きなけがの予防や術後のスポーツへの復帰をアシストすることに喜びを感じます。また、開発している装置が思い通りに動いたときは本当にうれしく、研究とものづくりの楽しさを実感します。直接的に人の役に立つ成果が出せるところも魅力のひとつです。

学生に教えるうえで、気をつけていることはありますか? 

私は「理学療法評価学」や「理学療法評価学実習」といった授業を担当しています。これは、患者さんの体の状態をどのように調べるか、どんな検査や測定を行うのかを学ぶ授業です。1年生で学んだ基礎知識を応用して、実際に体を動かしながら評価技術を身につけていきます。授業では、つまずきやすいポイントをあらかじめ丁寧に解説したり、講義の様子を録画して、あとで復習できるようにしています。また、現場での実体験も交えて、実際の仕事で役立つことをイメージしながら学べるよう工夫しています。教員としてはまだまだ若輩者なので、他の先生方の指導方法や学生さんのリアクションから、日々勉強させていただきながら、学生が「納得しながら学べる」ことを大切に、日々授業づくりに取り組んでいます。

先生が考える豊橋創造大学の良いところを教えてください。

豊橋創造大学は、環境・人・アクセスのバランスが「ちょうど良い」と思える大学です。都会すぎず田舎すぎない場所にあり、のびのびと過ごせて生活もしやすい割に物価も比較的安いです。豊橋駅は新幹線が停まるため、関東や関西へのアクセスも良いです。学生や先生の人数もちょうどよく、困ったときに相談しやすい雰囲気があります。校舎から見える豊川の景色も心が落ち着くポイントで、勉強や研究の合間に癒やしをくれる存在です。

理学療法学科としてはどうでしょうか?

理学療法学科は、学生と先生の距離がとても近いのが魅力です。1学年の人数がそれほど多くないので、先生が一人ひとりをよく見てくれて、質問や相談もしやすいです。また、地域に根ざした学科なので、卒業生が地元の病院や施設でたくさん活躍しています。臨床実習の指導者や就職先での指導担当が本学科の卒業生や関係者であることも多く、共通の話題からコミュニケーションが円滑に進んだりすることもあると聞いています。卒業生とのつながりが心強く、安心してステップアップできる環境が整っています。

理学療法士を目指したきっかけを教えてください。

小学生や中学生の頃に腰を痛めて病院に通ったとき、リハビリをしてくれた理学療法士の先生の存在を知ったのが最初のきっかけです。当時はすぐに目指そうとは思っていませんでしたが、高校で進路を考えるとき、「人の役に立つ仕事がしたい」と思い、理学療法士を目指すことを決めました。ちょうどその頃に、地元に本学の理学療法学科が新設されたことも大きな後押しになりました。

先生ご自身は、どんな学生生活を過ごされましたか?

私は地元・豊橋創造大学で学生生活を送りました。学校が実家から近かったため通学も便利で、勉強とアルバイトを両立しながら、仲間と楽しく過ごしました。特に整形外科でのアルバイトでは、先輩後輩の繋がりができ、臨床実習などの情報を得られるなど、多くのメリットがありました。患者様へ接する中で適切な態度についても学べましたし、臨床実習より前に理学療法士の先生方の施術場面を見学できたことも良かったです。

特に印象に残っていることはなんですか?

一番印象に残っているのは「運動学」の授業です。高校で物理が得意だったこともあり、体の動きを力学的に考えるこの科目はとても面白く感じました。また、冨田先生の授業は大変わかりやすく、自分も将来こんなふうに教えたいと思ったきっかけになりました。今の研究にもつながる学びがあった、大切な経験です。

理学療法士をめざす高校生にメッセージをお願いします。

理学療法士は、けがや病気で困っている人のそばに寄り添い、身体の回復をサポートする仕事です。大変なこともありますが、自分の関わりによって誰かの「できた!」という瞬間に立ち会えることが、この仕事の大きな魅力です。これほど面と向かって感謝してもらえる仕事はなかなか無いと思います。人の役に立ちたい、人と関わる仕事がしたいと思っている人にはぴったりの道です。
理学療法士を目指す高校生の皆さんに、卒業生として、教員として、自信を持って本学をおすすめします。高校までの勉強がついていけず、入学してからやっていけるか心配という声も耳にします。理学療法士を目指すための講義内容は一般的な高校で学ぶものとは大きく異なるため、皆さんゼロからのスタートです。私たち教員も全力でサポートしますので、安心して入学してもらえればと思います。私たちと一緒に理学療法士を目指しましょう!

研究者情報 彦坂 潤